地域の「支え合い」を考察する社会福祉学
人とつながる「場」をつくる
「人とのつながりが豊かだと、心の健康が保て、幸福を感じる」といわれています。近年はコロナ禍の影響もあり、対面でのつながりが制約を受け、それを補完するオンラインのつながりが注目を集めました。しかし、オンラインのつながりが、対面でのつながりを十分に補完できるかといえば、必ずしもそうではありません。実際に対面で「信頼できる人と交流できる場」があり、そこが「自分らしくいられる場」であれば、「人とつながりたい」という気持ちを持つことができます。
自分らしくいられる場とは?
ある地域のサロンでは、運営スタッフにより高齢者と大学生とが交流できるような仕掛けが準備されています。たとえば「折り紙」のように、初対面であったとしても、年齢を問わず、誰もが同じ立場で楽しめるものです。折り方が分からないと、高齢者が大学生に教えることもあれば、その逆もあります。折るのが早い、丁寧にきちんと折るなど、折る過程でかいまみえる個性は、完成した作品にも表れます。完成した作品をお互いに見て感想を話すことで、その人の新たな一面に気づいたり、気づいていなかった自分の一面を知ったりすることもあります。さらに折り紙以外にも会話がひろがり、少しずつお互いを知ることができれば、関係を深めていくきっかけもできます。「若者」や「高齢者」としてではなく、一人ひとりに心を寄せるような関係ができる場をつくることが大切です。そうすれば、継続したつながりが期待できるでしょう。
地域共生社会のために
こうした小さな交流を続けることが、お互いを理解して気にかけ合う関係づくりにつながります。その際にはどちらかが「支える側」「支えられる側」になるのではなく、各自ができることを引き出していくのもポイントです。地域住民たちでお互いを支え合う「地域共生社会」の実現に向けて、「これをやればうまくいく」という、すべての人に当てはまる明確な答えはありません。さまざまな事例の積み重ねから、一人ひとりの幸せに結びつく方法を探していくのです。
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