化学の実験も? 教育を変えるVR・AR教材の開発

危険なことを疑似体験
VR(仮想現実)やAR(拡張現実)など、臨場感を持って非現実の世界を体験できる技術は、ゲームをはじめ、さまざまな分野で活用されています。VR、ARの大きなメリットは、現実では危険が伴うことも安全に体験できることと、その場所に行かなくても体験できることです。このメリットを生かして、VR、ARの教材開発が進められています。
化学の実験がどこでもできる
危険を疑似体験できるメリットを生かして、大学で火災が起こった想定で避難訓練ができるVR教材が開発されました。実際に火が迫っている状況を再現したVRの中では、現実の火災とは異なるとはいえ、恐怖で足がすくむかもしれません。そうした感情、感覚をあらかじめ体験することで、避難経路を確認するだけでなく、いざというときに冷静に行動できる力を養えます。
危険な実験をVR教材で行うこともできます。例えば、化学の炎色反応の実験では、炎に金属粉を混ぜたアルコールを吹き付けて、金属の種類によって炎の色が変わることを観察する方法があります。とても印象的なのですが、実際に行うのはかなり危険です。しかしこれをVRで体験できれば安全ですし、学校に来られない人も実験に参加できるメリットがあります。
学校教育にVR教材が使われる未来
AR技術で、世界中の昆虫を観察できる教材も開発されています。カードに印刷されたマーカーを手に乗せて、スマートフォンのカメラで撮影すると、その映像の中に、昆虫が原寸大で浮かび上がって見えるのです。海外にしかいないカブトムシも、自分の手のひらに乗っているような感覚で見ることができます。手の大きさと比較できるなど、図鑑で見るのとは違った体験ができるのです。
コロナ禍では、学校教育にオンライン授業が取り入れられました。それにより、教育へのICT(情報通信技術)応用が注目されるようになりました。また、VR、ARの機器もどんどん価格が下がってきています。将来、VR、AR教材が学校で使われるのが当たり前になる日が来るかもしれません。
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新潟工科大学工学部 工学科 電子情報学系 インタラクティブICT研究室 教授山岸 芳夫 先生
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