互いに学び合い、学びを愉しむ:本質的な学びを助ける学習支援アプリ
学校教育におけるICTの普及
日本におけるICT(情報通信技術)を用いた教育では、1990年代半ばに、全国100の小・中・高等学校を対象にインターネットを利用した教育を促進する「100校プロジェクト」が実施されました。その後、さまざまな試みがありましたが、本格的な普及には至りませんでした。「GIGAスクール構想」が2019年から始まり、コロナ禍によってリモート授業などを導入せざるを得なくなったことから、タブレットや電子黒板などを使ったICTを活用した教育が全国的な規模で本格化しました。
頭の中を「見える化」する
ICT教育の中で重要な役割を担うのが、学習を助けるアプリケーションです。画像や映像などを用いて学習効率を高めるほか、児童・生徒一人一人の頭の中を「見える化(可視化)」して共有できることもその大きなメリットです。例えば理科では、ある植物を観察して感じたことを書き出し、そのメモをもとにグループで話し合うという授業があります。これによって自分は気付かなかったこと、見落としていた特徴を認識できます。このときにタブレットで簡単にほかの人のタブレットに送ったり、ほかの人のメモを受け取ったりできるアプリケーションを使えば、意見の交換や整理がより直感的にできて、グループの考えをまとめる作業がより容易になります。
本質的な学びを助ける
現在の学校教育においては、テストや入試で良い点数をとるために、教わったことを書き出すような学び方が一般化しています。しかし本来の学びとは、グループ学習のように「自分たちが主体となり、考え、つくりあげていく」ことに本質があり、愉しい活動です。自分よりも理解が進んでいないと思っていた友だちからも、意見を交換してみることで思わぬ気付きが得られることもあるでしょう。そうした経験を重ねることは、他者の考えを尊重する姿勢を育むことにもつながります。未来の社会を担う人を育てるという点においても、インターネットや学習支援アプリといった技術は非常に大きな助けになるのです。
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創価大学 教育学部 教育学科 教授 舟生 日出男 先生
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