「自分自身に胸をはり堂々と生きる」そんな力を育てる特別支援教育!
子どもが「今」待ち望む教育的支援を
障害のある子どもは、幼児から高校までどの年代にもいます。ここでいう障害は、発達障害、知的障害、肢体不自由、病弱による障害も含みます。対象の子どもが今待ち望んでいる教育的支援を行うために、特別支援教育の知識と実践力が求められています。
あるハリウッド俳優は、字が読めない学習障害があることを公言して、台本を音読してもらうなどして活躍しています。障害と向きあい、今を懸命に生きる人はたくさんいます。私たちは障害そのものを見るだけではなく、障害が原因で日常生活や学校生活で困っている状態、つまり生活障害に目を向ける必要があるのです。
目を輝かせる成功体験
教育現場では、障害の状態は一人一人異なるため、子どもの実態課題に合わせて向き合うことが大切です。その子の発達の状態や診断名、学習歴、認知特性、生活の状況、本人の思いや願いなどを把握した上で、授業や対応を考えます。
知的障害の子どもの中には、小学校6年であっても発達段階が3~5歳という子もいます。その子どもが、楽しく学べるよう工夫します。例えば算数で10の「かたまり」を把握するのが難しいなら、まずは5個の「かたまり」を理解するなど地道な取り組みを行います。その結果、子どもが「できた」「うれしい」「またやりたい」と目を輝かせる成功体験を重ねます。学びを通じて、自信をもって生きていく力を養うことが大切なのです。
職員や教員への支援も
例えば福祉作業所に就職したダウン症のAさんは、毎朝出勤の際、通りすがりに振り返る人、見て見ぬふりをする人たちに出会います。しかし、彼は堂々と歩きます。彼はダウン症として生まれてきたことに誇りをもち、強い人間性をもちあわせています。同情ではなく、すべての人を尊重するインクルーシブな社会や教育の実現を考えることが必要です。
ときには、施設などでの虐待のニュースも耳にします。そんな事態を減らすためにも、施設職員や教員は質の高い特別支援教育の実践力と支援体制の整備が急務となっています。
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先生情報 / 大学情報
椙山女学園大学 教育学部 子ども発達学科 准教授 松村 齋 先生
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