アダプテット・スポーツで、共に学び育ち合う体育の授業に!

野球でバットの代わりにラケットを使うことも
「アダプテッド・スポーツ」とは、個々の特性に応じて道具やルールなどを工夫することで、誰もが参加し、楽しむことができるように競技を適合(=アダプテッド)させることです。例えば、野球ではバットの代わりにラケットを使って打ちやすくする、バスケットボールでは「全員に一度はパスを回さないとシュートできない」というルールにするなどの工夫があります。体育の授業でアダプテッド・スポーツの視点を取り入れると、みんなが活動できる学習内容になるため、個々のつまずきも解消されます。そのため、通常の体育授業よりも運動学習時間をしっかり確保できることがわかっています。
運動が苦手な子でも楽しめるルール
パターゴルフを適合させた「ゲートウェイボール」は、3m離れたところにコーンを2つ置き、ボールを打ってその間に通せば得点できるゲームです。バットで打つか、ラケットで打つかで得点を変えて戦略性を持たせ、さらに通したボールの数だけくじを引いて得点を加算するルールにすることで「運」の要素も加わり、いろいろな子どもに活躍の可能性が出てきます。その中では、身体的不器用さのある子どもたちの打ち方などの技能面も向上し、運動に対する自尊感情も育っていきます。
教えるのではなく、動きを導く
自閉スペクトラム症などの障害のある子どもで、教えてもできない場合に教材や課題によって適合させていくアプローチもあります。例えば投球動作なら、腕のスナップの動きを見せて説明するのではなく、フラフープの輪を覆うように張った新聞紙に向けて、「破らないようにそっとボールを当てる」という課題を示すのです。本人が自発的に工夫した動きを引き出すことで劇的にフォームが変わります。このように、特定の動作や動きを教え込むのではなく、課題を介して導くことで活動を楽しむことにつながります。今後、体育授業の充実を考えていく上ではアダプテッド・スポーツを取り入れた視点が求められており、実際に授業モデルの開発も進められています。
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