排便機能障害によるQOLの低下や離職を防ぐために
看護師の仕事って何?
”看“という字は、「手」と「目」を組み合わせてできています。だから、看護は、「手」と「目」で人を護(まも)るという意味が込められています。人は生まれると、その生を閉じるまでいろいろな時期を過ごしていきます。「保健看護」は、そのすべての時期にある人を対象とし、病気があるないにかかわらず、健康を守るために支援する学問です。
成人看護学とは
成人看護学とは、人生の中でもっとも長い期間を過ごす成人期の方への看護を追求する学問です。成人の人の特徴は、価値観や人生観をもち、セルフケア能力も十分に備えている人です。その成人期の患者に対し、病気による新たなセルフケアを獲得してもらうことは容易ではありません。一人ひとりの社会的役割や立場、生活環境にも配慮しながら、セルフケア再獲得のために必要な支援を行うことも、成人看護学の大切な役割です。
大腸がん患者の術後の実態
成人期に多い病は「がん」です。がんの治療のひとつに手術があります。大腸がんの手術には、腸を切除したあと人工肛門をつける場合と肛門を温存する場合があります。大腸がんの研究論文によると、肛門を温存した患者の生活の質が低いという結果が記されています。大腸がんで便をためる直腸を切除すると、便が頻回に出るといった排便機能障害が起こります。ほかの部位におけるがんでは、切除する場合でもなるべく温存する方向で対処しますが、大腸がんの場合は肛門を温存しても、排便障害によって患者の生活に大きく影響を及ぼしているのです。
症状が重く、生活が一変する人も大腸がんで手術を受けた患者の実態を調べてみると、患者の中には、生活の質が著しく低下し、仕事を辞めざるを得ない人もいることから、本人のセルフケアだけに頼らない具体的な対処法の指導など、看護の視点による支援が求められています。
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先生情報 / 大学情報
和歌山県立医科大学 保健看護学部 保健看護学科 成人看護学 教授 辻 あさみ 先生
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看護学、成人看護学、がん看護学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?