動物のお医者さんだけが獣医師の仕事ではない
獣医師イコール動物のお医者さんか
一般的に獣医師と聞くと、一番に思い浮かべる職業は小動物(ペット)のお医者さんだと思います。しかし獣医師の仕事はそれだけではなく、いろいろなところで活躍する場面が存在します。例えば、病気の診察をする臨床医だけとっても、ペットの臨床医、産業動物の臨床医、野生動物や水族館動物の臨床医などさまざまです。また私たちが口にする食肉などの安全管理をするのも獣医師の仕事ですし、産業動物からヒトへ感染する可能性のある感染症などの制御にあたるのも獣医師の仕事です。このように一口に獣医師といっても、その職業域は非常に幅広いものとなっています。
動物のお医者さんがするべきこと
医師にとって、すべての行為はヒトの命を救うことに向けられるのに対して、同じ動物のお医者さんでもペットの臨床医と産業動物の臨床医では意味が全く異なります。ペットの臨床医は、ペットの命を救うことを第一義にはしていますが、ときにはペットの病気を治すことを通して、ペットの飼い主の気持ちを癒やしたり、助けたりすることも行われています。一方で、産業動物の臨床医の場合は必ずしも動物の命を救うだけが仕事ではありません。ときには感染症にかかりヒトへの感染の危険性があるような動物がいた場合には、それら動物を処分することも獣医師に課される仕事となります。
臨床医だから気づく研究
ペットの臨床医は目の前の動物を救うことが使命の一つであります。毎日出会う1頭1頭のペットを治療することも重要ですが、それには限界があります。治療が難しいような病気については、研究活動を通じて新たな治療法などを開発することも必要となります。特に臨床医が毎日遭遇する病気には多くのヒントが隠れていたり、どういった病気が臨床の現場で問題になっているかに気づくのも臨床医です。このように臨床医ならではの観点から病気をみつめ、それに必要な研究を実施する、というのが大学で臨床をしながら学術研究を実施できる強みです。
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先生情報 / 大学情報
山口大学 共同獣医学部 獣医学科 教授 水野 拓也 先生
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