足りないと不安を感じやすくなる「脂質」の機能に迫る

足りないと不安を感じやすくなる「脂質」の機能に迫る

脳に欠かせない「いいあぶら」

脂質は三大栄養素のひとつですが、太りやすいなど悪者のように思われがちです。しかし、脂質の中にも「いいあぶら」があることが明らかになっています。その代表例が、DHAなどのオメガ3系脂肪酸です。魚介類やえごま油などに含まれますが、食の欧米化によって現代人は不足しがちです。特に、65%が脂質で出来ている脳では、オメガ3不足の影響を強く受けることが分かっています。
オメガ3は学習機能のほか、メンタルヘルスにも影響を与えることが分かってきました。オメガ3の摂取不足が続くと、不安を感じやすくなる可能性があります。

不安を感じやすい人はオメガ3が足りない?

オメガ3と脳の関係を調べるために、マウスの行動試験が行われています。例えばおなかを空かせたマウスを広い四角い空間に入れ、その中央に置いたエサを食べに行くまでの行動を調べる実験です。マウスは壁伝いに移動する習性があるのでエサのある中央に向かうことには不安を感じますが、やがて食欲が不安を上回りエサを食べに行きます。つまり、不安が強いマウスほどエサを食べるまでに時間がかかります。
実験の結果、オメガ3が不足しているマウスではエサを食べるまでの時間が長く、不安レベルが高いことがわかりました。

オメガ3を十分に摂取するには?

厚生労働省では、成人男性のオメガ3系脂肪酸の摂取目安量を、1日あたり約2gと定めています。
この1日約2gを食事で考えると毎日1食は魚介類を食べる計算になりますが、魚介類は調理等に手間もかかりますし、価格も高めです。あなたの普段の食事を少し思い返してみてください。毎日魚介類を食べるというのはなかなか難しい目標ではないでしょうか。
そこで役に立つのが、えごま油やアマニ油です。1日に必要な量のオメガ3を、えごま油 小さじ1杯で摂取することができます。ヨーグルトにかけたり、サラダのドレッシング代わりなどがお勧めです。
「魚介類を食べない日はえごま油小さじ一杯」で、無理なく継続的にオメガ3を摂取できます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

麻布大学 生命・環境科学部 食品生命科学科 講師 山本 純平 先生

麻布大学 生命・環境科学部 食品生命科学科 講師 山本 純平 先生

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食物・栄養学

先生が目指すSDGs

メッセージ

食事のように、一生涯にわたって1日に3回もくり返す行動は人生の中でも珍しいはずです。高校生のあなたも、これまでに2万回近くの食事を経験してきたと思います。当たり前のように見えて実は特殊な行動である食事に、ぜひ興味を持ってほしいです。食べることと生きることは、密接につながっています。身体を作っている食事について学ぶことは自分のためになりますし、誰かの健康を守りたいと感じたときにも、きっと役に立つと思います。奥深い食品と栄養の分野に足を踏み入れてもらえると、とても嬉しいです。

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

麻布大学に関心を持ったあなたは

はじまりは1890年に開設した東京獣医講習所でした。
まだ栄養状態が豊かでなかったこの国の、人の生活を豊かにするため、畜産の発展に寄与するため獣医師の養成をはじめました。それから約130年の時を経て、人の社会と動物のかかわりは深くなり、複雑になり、生きものすべてが新しいバランスで循環する「いのちのあしたのあり方」が求められています。
これが私たちの目指す「地球共生系」です。
最先端の研究と確かな実践力で、「人と動物と環境」に向き合い、地球のあしたをつくる。これが私たち麻布大学です。