ペットを切り口に「理想の地域コミュニティ」実現をめざす

ペットを切り口に地域コミュニティを分析
近年、アメリカのニューヨーク、サンフランシスコ郊外や日本の代々木公園などで、ペットと飼い主の関係、あるいはドッグパークや公園で出会う飼い主同士のつながりについての研究がなされています。飼い主同士が接触を持ち、飼育知識を交換しながらネットワークが形成されていることから、ペットが地域コミュニティのハブの役割を担っていることがわかってきました。このように動物やペットを切り口に地域コミュニティを研究することは、社会学の領域においてあまりなかったことです。
新型コロナによって生じた変化
従来、社会学の調査方法は紙ベースでのアンケートなどが行われていましたが、現在ではクラウドを使った電子的な方法に移行してきており、よりたくさんの回答を得ることができます。
ペットに関する調査でいえば、新型コロナによってペットの飼育の仕方に大きな変化が起こりました。コロナ禍の中、飼い犬にドッグフードをあげる人の割合は減り、多くの飼い主はペットに「手作りご飯」をあげるようになっていたのです。ペットがより「家族」になっていることがわかります。この傾向はコロナ後も変わっていません。もっと大きな視点で見れば、ペットは今や地域社会、コミュニティのメンバーになっているということです。
「ペットフレンドリーな」コミュニティ
ペットが果たしている役割を考えると、ペットを調査対象として追うことで、家族のカタチやコミュニティのあり方が見えてきます。地域社会においてペットはトラブルを引き起こすこともあります。実際、アメリカで飼い主たちが集まるドッグパークを改装することになったとき、地域の利害関係があぶり出されて課題となりました。しかし、飼い主もそうでない人も当事者同士が向き合うことで、利害の調整がなされました。今後ペットを切り口にして、多様なメンバーがお互いを認め合う、居心地のよいコミュニティをつくる方法を模索する研究が進められていきます。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
