CO₂吸収セラミックスで地球環境に貢献!
様々な機能を持つセラミックス
「セラミックス」というと茶わんなどの陶磁器を思い浮かべるかもしれませんが、広い意味では、人の手によって創り出された非金属無機質の固体材料であり、特に酸化物について多くの材料が開発されています。様々な元素を目的にあった割合で混合し、焼き固めるなどをして合成することで、様々な機能を持たせることができます。例えば電池に使われる各種の導電体や、自動車の排ガス浄化触媒に使われる酸素貯蔵材料、また、紫外線照射によって赤やオレンジに光る蛍光体などで、それらの機能の評価や発現メカニズムの解明が行われています。
CO₂を吸収するセラミックス
二酸化炭素(CO₂)を可逆的に吸収・放出するセラミックスの開発研究もその一つです。石灰水に息を吹き込むと白く濁る理科実験がありますが、白濁するのは呼気中のCO₂と石灰水に含まれるカルシウムイオンが反応し、炭酸カルシウム(炭酸塩の一種)が生成されるからです。この実験と同じように、炭酸塩を生成する化学反応を利用して、CO₂を固体としてセラミックスに取り込みます。炭酸塩を作るためにこのセラミックスにはアルカリ金属やアルカリ土類金属が含まれている必要があります。また、化学反応を起こすには高温である必要がありますが、例えば焼却炉に設置すれば焼却熱を利用してCO₂を吸収できます。
CO₂吸収セラミックスで地球環境を守る
このCO₂吸収セラミックスを使った、新しいCO₂回収システムの構築が進められています。CO₂が高濃度のときはCO₂を吸収、低濃度では放出というCO₂吸収セラミックスの特徴を利用したシステムです。これは、高濃度のCO₂を含む排ガスをCO₂吸収セラミックスの入った管に流してCO₂を吸収した後に、例えば空気などのCO₂濃度の低いガスを流せばそのガス中にCO₂を回収できるというしくみです。回収されたCO₂はワカメなどの海藻の生育に利用してブルーカーボンとして海洋中に固定するので、カーボンニュートラルにも貢献すると期待されます。
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