生物の群れからヒントを得た、最適化アルゴリズム

生物の群れからヒントを得た、最適化アルゴリズム

日常的に行われている最適化

「最適化アルゴリズム」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、私たちは家から目的地まで、できるだけ時間や費用がかからないルートを選択するなど、日常的に最適化を行っています。身近なところでは、ルート検索のアプリやWebサイト、運送業者の配送ルートなどにもこうしたアルゴリズムが使われていて、膨大な数の候補の中から、距離や時間だけではなく、混雑予想や給油ポイントなど、さまざまな条件を満たす最良な選択肢を効率的に求めることが必要とされています。

自然界の事象をAIに応用

自然界では多くの事象が最適化されていて、その仕組みを取り入れたAI(人工知能)アルゴリズムは多岐に渡ります。その中の一つに、渡り鳥やイワシなど、餌場を求めて群れで行動する生物の振る舞いを模倣した「群知能アルゴリズム」があります。群れの中に、自然と集団を先導するリーダーが生まれ、そのリーダーに倣って、答えを探し出す仕組みを取り入れたもので、個がシンプルなルールに従って行動することで、群れとして集合的振る舞いが創発され、結果的によい答えを見つけ出すという仕組みです。膨大な数の答えの候補があったとしても、集団で答えを探すことができるため、効率的に実用的な答えを見つけることができます。

社会課題を最適化で解決に導く

最適化アルゴリズムは、PCのスペックや計算アルゴリズムの速度向上によって、これまでは適用が難しかった領域にも活用の幅を広げています。社会情勢や天候の変化などから需要予測を立て、人・モノ・時間を効率よく使い、品質やコスト、納期のバランスの取れた生産計画を立てるなど、工業製品の設計・計画などへの活用も進んでいます。より優れた答えを、より短時間で効率よく導き出す技術は、今後も確度を高め、さらなる進化に期待が寄せられています。

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湘南工科大学 情報学部 情報学科 人工知能専攻 准教授 佐々木 智志 先生

湘南工科大学 情報学部 情報学科 人工知能専攻 准教授 佐々木 智志 先生

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先生が目指すSDGs

メッセージ

出会いを大切にしてください。今でこそ大学で教員をしている私ですが、高校生の頃はそのような将来は想像もしていませんでした。きっかけは、大学の研究室の恩師との出会いです。熱心に面倒を見てもらい、研究の面白さを教えてもらいました。そして、やりたいことを見つけてほしいと思います。勉強でも趣味でも構いません。何か、本気でやりたいと思えることを見つけてほしいです。誰の人生でもない、自分の人生です。勉強の合間に少しでもいいので、真剣に考える時間を作ってみてください。

湘南工科大学に関心を持ったあなたは

湘南工科大学は「社会に貢献する技術者の育成」を大学のミッションに掲げる、1963年創立の工科系大学です。充実したICT環境と設備を備えた、湘南の自然豊かなキャンパスで、工科大学ならではの専門知識と実践的技術を身につけることができます。多くの授業でアクティブラーニングを取り入れており、学生が主体的に授業に参加し、実践を繰り返すことで理解を深めながら成長していく学修スタイルが特徴。また、少人数の担任制度や、きめ細かい就職支援などの各種制度により一人ひとりを手厚くサポートしています。