人々の幸せを想う!? 「体験」を考えるデザイン
思いやりを製品に
一つの製品をつくるとき、それを使う人を思いやり、それを製品にどう反映するかを考えるのが「デザイナー」という仕事です。使う人のニーズと製品をつくる技術の両方の知識を持ち、使いやすさ、心豊かな体験ができる機能などのアイデアをエンジニアに伝えることで、愛される製品は生み出されます。
例えば、テレビ番組すべてを録画できるレコーダーについてデザイナーがユーザーの行動を調査したところ、録画した番組の興味がある部分だけ少しずつ見ていることがわかりました。そこで、そうした使い方に適した操作機能を付け加え、より便利な製品に改良する、といったことです。
長く愛され、心豊かになるため「体験」を研究する
モノがあふれている現代では、性能や耐久性だけではなく、それを使うことによって心豊かになれる体験、「ユーザーエクスペリエンス(UX)」が、製品の設計に求められています。また、近年サブスクリプション(定額継続購入)やシェアリング(共同使用)のように、購入後もサービスが続くような、新しい形のビジネスも生まれています。さらに環境保護の観点からも、長く使ってもらえるUXデザインが求められています。そうした背景から、愛着や情熱を持って長く楽しむプロセスのパターンを解明してデザインに生かそうという研究が注目されています。
人の「経験価値」成長パターンをデザインに
一つの研究では、人が趣味などに「ハマる」体験のエピソードを、ユーザーへ聞き取り調査しました。そこから安心感や探求心や向上心などの経験価値に成長するプロセスをモデルにしました。こうした研究結果をもとにデザインすることで、人々が心豊かな生活を送れるような製品やサービスが生まれると期待されています。人が社会や環境と調和し、幸せに生き続ける。そのためには、どうあるべきかを考えていくデザインがこれから大事になっていきます。
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先生情報 / 大学情報
湘南工科大学 工学部 デザイン学科 教授 堀川 将幸 先生
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