乗っている人が安心できる自動運転にするために
ロボットが動くためにはシステム開発が必要
鉄腕アトムやドラえもんといった、アニメの世界が現実味を帯びてきました。ヒューマノイドロボットとは、人間の形をしたロボットのことで、自分で判断して行動するタイプは「自律型ロボット」と呼ばれています。センサなどのデバイスとロボットをつなぐ複合的なシステム開発の分野では、日本は世界のトップレベルです。
自動運転機能搭載のロボットは人を守るパートナー
近い将来、車の自動運転が実現するでしょう。自動運転になったとき、乗っている人間は、すべてお任せ状態で、車の中でちょっと怖いと感じるかもしれません。自動運転中に危険を察知した車は、例えばブレーキをかけて止まるなどするでしょう。ただ、どうしてそういう動きになったのか、乗車している人にはわからないケースもあり得ます。自動運転の車に自律型ロボットを載せて、車がこれからどんな動きをするのか、車が今何を見て、どんな反応をしようとしているかを伝えてくれれば安心できるはずです。車という機械と人との間にロボットが入り、言葉にならないコミュニケーションの手助けをするのです。
鳥の群れのシミュレーションを使って
自動運転の車に搭載されたロボットは、歩行者などが車に近づいていて危ないという状況を検出して、周りの環境と車の関係が本当に危ないのかを推定しなければなりません。その推定のために、「群知能(SI)」と「ボイドモデル」が使われます。
SI は自然界の生物の群れのふるまいを模した人工知能で、個体は単純な行動規則をもち、多数集まったときに自己組織化されて高度にふるまうというものです。ボイドモデルとは、鳥がほかの鳥とぶつからないように距離をとりつつ、同じ方向に速度と方向を合わせて飛ぶといった動きを数式化しシミュレーションしたものです。このボイドモデルをロボットの判断のために使って、たくさんある注意すべき対象に当てはめて、距離を置くなど取るべき動きを想定し、それを群知能が統合して判断することが想定されています。
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先生情報 / 大学情報
富山県立大学 情報工学部 知能ロボット工学科 (※2024年4月工学部から再編) 准教授 増田 寛之 先生
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