音楽で絵を描く!
音楽の演奏者は画家
あなたは「VJ(ビジュアルジョッキー)」という言葉を聞いたことがありますか? VJとは、ダンスフロアなどで音楽に合わせて映像を流し、その場を盛り上げていく役割を担う者をいいます。VJは単に音楽に合わせて映像を流していくだけですが、「音楽で絵を描いてしまおう!」という、これまでにない研究が進められています。
この研究では音楽の演奏者が画家で、演奏が絵筆の役目を果たします。演奏に合わせて色が塗られ、それを組み合わせて抽象画を描いていきます。コンピュータを使って音楽を解析し、音楽の力を借りて絵を描いていく試みなのです。音楽は時間の芸術であり、時間のつながりや区切りが大切な要素になります。音楽の解析結果を応用することで、絵筆の動きや色、絵筆の形、強さ、激しさ、柔らかさをリアルタイムにコンピュータ上に作っていきます。
例えば、フルートが鳴った時とピアノが鳴った時で、筆の形を変化させます。また、ソロやアンサンブル、激しい曲や緩やかな曲などの違いで、それぞれ違った筆や色を使うことにより、さまざまなバリエーションで描いていくのです。
音楽と絵画のインスパイア
現代絵画では、できあがった作品を鑑賞し共感します。ただ、芸術では制作者の欲求や欲望を、鑑賞する側が理解することが大切であり、作品が生み出されるプロセスを伝える重要性は高いと言えます。「音楽で絵を描く」という方法では、演奏者と観客が同じ空間において音楽や絵、制作プロセスも共有することができます。
演奏者は画面上に作画されていく絵を見ながら演奏していますので、好みの絵の状態になるように音色、音の強さや長さなどをコントロールしていきます。面白い絵を描きたいという欲求から演奏の質が変わり、音楽の質も良くなるのです。このように演奏者が絵にインスパイア(感化)され、その結果、音楽がインスパイアされます。そして絵と音楽が相互にインスパイアされていく空間を作り上げることで、観客は新しい芸術の世界を体全体で感じることができるのです。
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