介護弱者を埋もれさせない、地域包括支援センターの役割
介護保険サービスを受けるには?
「要介護認定制度」は、介護が必要な状態を客観的に判断するもので、認定された人には介護保険サービスが適用されます。このサービスを利用するには、市区町村の窓口で申請を行います。自分で申請できない高齢者のために、申請を代行してくれるのが「地域包括支援センター」です。これは高齢者の医療や福祉、保健に関する総合的なサポートを行う相談機関で、現在は支所も含めて全国各地に7千カ所以上あるとされます。公立中学校の学区と同じくらいの地域に1つある、身近な機関です。しかも介護保険を受けていない人からの相談にも無料で応じる、心強い存在であり続けています。
こちらから出向く
地域包括支援センターの特徴は「アウトリーチ」です。地域の住民から電話などで介護の相談があれば、センターの担当者が出向き、具体的に困りごとを把握して相談に乗ります。これは前身の「在宅介護支援センター」が1989年に立ち上がった当初からのやり方で、支援が届いていない人に対して積極的に働きかけるものです。当時このコンセプトは画期的で、以来ずっと外部から見えにくい問題にも取り組んでいます。
その1つが高齢者虐待です。介護する家族のストレスが原因のことが多く、発覚したら早めの対処と、家族への手厚い支援が必要です。しかし中には「世間に恥ずかしいから」と虐待の事実を隠す家庭や、日頃から言葉遣いの荒い家庭、以前から肉体的、精神的虐待のあった家庭もあります。虐待かどうかの線引きが難しいケースも少なくありません。ケアマネージャーですら報告を迷う場合もあり、高齢者虐待の問題を難しくしています。
課題や問題を埋もれさせない
家庭への支援を行き届かせるためには、地域包括支援センターはケアマネージャーなど家庭を訪問する担当者らともしっかり連携する必要があります。そして報告しやすい環境を整えます。地域包括支援センターは、これからも介護に関する地域の困りごとを埋もれさせない方法や対策を考えていく役目があります。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
龍谷大学 社会学部 総合社会学科 現代福祉領域 ※2025年4月新設 教授 春名 苗 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
社会福祉学先生への質問
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?