保護者の孤立を防ぐ「おしゃべり会」と「子育てサークル」

保護者の孤立を防ぐ「おしゃべり会」と「子育てサークル」

保護者の社会的孤立とその影響

現代の育児における課題のひとつに、保護者の社会的孤立があります。保護者が育児に疲れて誰にも相談できずに社会から分断されることは、子育てにも望ましくない影響を与えます。それを解消する活動のひとつに地域の「子育てサークル」があり、参加することで保護者同士が気軽に情報を交換し合い、育児経験の豊富な人からアドバイスが得られることもあります。しかし、新しい人間関係の中に入っていくことに不安を感じる人も少なくありません。

気軽に参加できるおしゃべり会

こうした保護者の孤立を解消するために、子育てサークルよりも気軽に参加できる交流の場として考案されたのが「おしゃべり会」です。これは地域の子育て支援施設で開催される4〜5人の少人数制の「月例セッション」で、公認心理師がホスト役を務めます。1回から参加可能な気軽に参加しやすいイベントです。ホストは自己紹介のワーク等を通して参加者同士が話しやすい雰囲気をつくり、参加者全員が話ができるように話を振ったりしながら、参加者中心で話せる進行を行います。参加者は話を聞いてもらい、同じ悩みを持つ人と問題を共有することで、自分が一人ではないという安心感を得ることができます。過去には父親限定のおしゃべり会も開催されて、普段育児の相談相手がいなかった男性にも好評でした。このような体験は、地域における親子の居場所を得られるきっかけとなります。

子育てのネットワークを広げる

福岡市では現在、14カ所に子育て中の親子が無料で利用できる「子どもプラザ」が設置されています。おしゃべり会も現在は1カ所での開催ですが、将来的にはほかの子どもプラザでの活動も念頭に置いた知識と技術のマニュアル化が検討されています。また、社会全体の意識改革として、男性の育児休暇取得への理解や、各地域の実情に適切な子育て支援を展開・周知することも重要です。このようにして、誰もが気軽に支援につながることができるしくみづくりを進め、地域で抱える力を増していくことが大切なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

福岡大学 人文学部 教育・臨床心理学科 講師 満身 史織 先生

福岡大学 人文学部 教育・臨床心理学科 講師 満身 史織 先生

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臨床心理学

メッセージ

あなたが今学校でしている勉強は、大学進学のためのものであると感じてその意義が見いだしにくいかもしれません。しかし、高校時代に学ぶことは、将来の夢を実現するための重要な基礎となったり、将来できることの選択肢の幅を広げてくれますので、諦めずに頑張ってください。また大学に進学してからでも遅くはありませんが、子どもに関わる仕事をめざすのであれば、子どもと関わる経験を積むことが大切です。子どもとのふれあいから得た学びは、将来のあなた自身の子育てにも役立つものになります。

福岡大学に関心を持ったあなたは

福岡大学は、9学部31学科、在学生2万人を有する総合大学です。多くの学生や教職員が行き交う広大なキャンパスは福岡市の南西部に位置し、都心部との交通の便もよく、活気に満ちあふれています。「ワンキャンパス」に全学部が集結しており、総合大学の魅力を生かし、学問・研究および課外活動などにおいて学部間の交流が盛んに行われ、文系・理系だけにとどまらない幅広く多様な視野と知識を得ることが可能な大学です。また、創立から90周年で輩出した卒業生総数は28万人を超え、あらゆる分野で力を発揮しています。