国に精神科医が1人! 発展途上国の精神障がい者の暮らしとは
社会福祉、先進国と発展途上国
「社会福祉」とは、生活に困っている人や身体や精神に障がいがある人、児童など、社会的に弱い立場の人に対する制度や支援を指して使われることが多い言葉です。社会福祉が充実している国と聞いて、あなたはどこを思い浮かべますか。「ゆりかごから墓場まで」という言葉で知られるイギリスや北欧の国々など、いわゆる先進国が頭に浮かぶことでしょう。日本の社会福祉も欧米に学びつつ独自の発展を遂げてきました。では、社会福祉は先進国だけのものかといえば、発展途上国にも同じように社会福祉を必要としている人はたくさんいます。
発展途上国の精神障がい者はどう暮らしている?
アフリカ西部のシエラレオネという国はダイヤモンドの生産国として知られていて、その利権をめぐり1991~2002年に内戦が起きました。そんな苦しい時代を生き延びた人々の中には、精神疾患(精神障がい)を持つ人や薬物依存に苦しむ人も少なくありません。ところが内戦が終わった頃、人口約500万人に対し精神科病院は1か所、精神科医も1人だけでした。国は貧しく、社会福祉制度は整っていません。では、精神障がいを持つ人々はどうやって暮らしているかというと、周囲の人が食料を調達し、お金を分け与えていました。国による制度がなくても人々の分かち合いの精神が日々の生活を支えているのです。
「日本の障がい者は大変だ」
「日本の障がい者は大変。車椅子で電車を利用する時、駅員さんに事前にお願いして支援を準備してもらう必要がある。ルワンダなら困っていたら自然に周りの人が助けてくれる。」アフリカのルワンダで、障がいのある人々に義肢や装具を製作し、無償で提供する活動をしている日本人女性の言葉です。現代の日本では制度の充実によって障がい者の人々が暮らしやすくなっている一方、逆に制度化しないとサポートを得られなくなっている現状にも気づかされます。日本から発展途上国に社会福祉の制度や支援のあり方を伝えると同時に、発展途上国から学ぶことも多くあるのです。
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神戸女学院大学 文学部 総合文化学科 教授 金田 知子 先生
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