地域包括ケアに欠かせない看護師のマネジメント能力
マネジメントは看護職の基盤となるスキル
目標までの効果的・効率的な道筋を考え、判断し、自律的に実践するのがマネジメントです。これは患者の状況を判断しながらケアを行う看護職にも必要な能力です。また、組織としてめざす看護を実現するにはどうしたらいいか考えるのも一種のマネジメントです。さらにより良い実践を行うためにも、看護専門職として成長していくため何をすべきなのか、自らのキャリアマネジメントとして道筋も考える必要があります。
看護師は各専門職の「つなぎ役」
高齢者に限らず誰しもが、生涯住み慣れた土地で暮らし続けられるよう、さまざまな専門職が連携し支えていく地域包括ケアシステムの構築が進められています。医療の分野から地域包括ケアの一端を担う看護師のうち、地域を担当する看護職、いわゆる訪問看護師が利用者の生活方針を聞き取り、希望をなるべく実現に近づけていきます。解決できない場合は、福祉の分野、ケアマネージャーや理学療法士、作業療法士などの専門職と連携し支援することになります。あるいはシステム作りから必要な場合は行政の立場にいる保健師や地域包括支援センターの協力を仰ぎます。このように看護職の役割のひとつが「つなぎ役」となることで、これもマネジメントと言えます。
地域包括ケアを成功させるには
現在は地域包括ケア病棟が設置されている病院も増え、患者の入院中から退院後の生活を見据えた準備が進められています。看護基礎教育も地域包括ケアに関する教育を重視し、個別の支援においても地域での生活者の視点を持ってケアをする意識が高まっています。地域包括ケアが成功している地域の特長は、各専門職が密な連絡を取り合っていることです。彼らは互いの専門性や役割を把握し、地域に住む人を支えようという意識を全体で共有できています。どの専門職もそれぞれの職務があり多忙ですが、ICTなどもうまく活用していい関係性を保ち、それぞれの専門性を活かしながらチームとしてマネジメントできるかどうかが、地域包括ケアの成否を握っています。
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先生情報 / 大学情報
上智大学 総合人間科学部 看護学科 教授 両羽 美穂子 先生
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