講義No.12216 看護学

地域包括ケアに欠かせない看護師のマネジメント能力

地域包括ケアに欠かせない看護師のマネジメント能力

マネジメントは看護職の基盤となるスキル

目標までの効果的・効率的な道筋を考え、判断し、自律的に実践するのがマネジメントです。これは患者の状況を判断しながらケアを行う看護職にも必要な能力です。また、組織としてめざす看護を実現するにはどうしたらいいか考えるのも一種のマネジメントです。さらにより良い実践を行うためにも、看護専門職として成長していくため何をすべきなのか、自らのキャリアマネジメントとして道筋も考える必要があります。

看護師は各専門職の「つなぎ役」

高齢者に限らず誰しもが、生涯住み慣れた土地で暮らし続けられるよう、さまざまな専門職が連携し支えていく地域包括ケアシステムの構築が進められています。医療の分野から地域包括ケアの一端を担う看護師のうち、地域を担当する看護職、いわゆる訪問看護師が利用者の生活方針を聞き取り、希望をなるべく実現に近づけていきます。解決できない場合は、福祉の分野、ケアマネージャーや理学療法士、作業療法士などの専門職と連携し支援することになります。あるいはシステム作りから必要な場合は行政の立場にいる保健師や地域包括支援センターの協力を仰ぎます。このように看護職の役割のひとつが「つなぎ役」となることで、これもマネジメントと言えます。

地域包括ケアを成功させるには

現在は地域包括ケア病棟が設置されている病院も増え、患者の入院中から退院後の生活を見据えた準備が進められています。看護基礎教育も地域包括ケアに関する教育を重視し、個別の支援においても地域での生活者の視点を持ってケアをする意識が高まっています。地域包括ケアが成功している地域の特長は、各専門職が密な連絡を取り合っていることです。彼らは互いの専門性や役割を把握し、地域に住む人を支えようという意識を全体で共有できています。どの専門職もそれぞれの職務があり多忙ですが、ICTなどもうまく活用していい関係性を保ち、それぞれの専門性を活かしながらチームとしてマネジメントできるかどうかが、地域包括ケアの成否を握っています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

上智大学 総合人間科学部 看護学科 教授 両羽 美穂子 先生

上智大学 総合人間科学部 看護学科 教授 両羽 美穂子 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

地域看護学

先生が目指すSDGs

メッセージ

視野が広がる経験を積んでおくと、将来を考えるのに役立ちます。そのためには友達だけではなく、さまざまな人と会話することや、本を読むこともお勧めです。例えば、悩みへの対処法を書いたデール・カーネギーの『道は開ける』を読むと、自分の考えを整理することができるでしょう。今、将来やりたいことがあってもなくても、見方が変わると新たな選択肢が見えてきます。その分岐点を見逃さないためにも、視野を広げておくことが大事なのです。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

上智大学に関心を持ったあなたは

日本初のカトリック大学として開学し、創立当初から国際性豊かな大学として、外国語教育に重点を置いてきました。留学制度も充実しており、世界約80ヶ国に390校以上にも及ぶ交換留学・学術交流協定校があり、コロナ禍の2020年度、2021年度を除き、毎年約1,000人の学生が世界の様々な国や地域へ留学しています。また、少人数教育も本学の伝統のひとつです。教員と学生の距離が近く、また学生同士が率直に意見を交し合う、きわめて理想的な教育環境が整っています。他者を思いやり、社会に奉仕できる人材を育成します。