世界を記述する新しい関数を見つけ出す!
現象を記述する関数を求める
数学が扱うものは大きく分けて「図形」「数」「関数(式)」の3つです。そのうちの関数の領域では、これまで多くの関数が物理現象を記述するものとして見つけられてきました。波の動きや形を表す関数や、人工衛星を飛ばすための関数、半導体の中の電子の動きを知る関数などさまざまなものがあります。
現在でも、新しい知識や技術が関数を必要としています。例えばAIが答えを導き出す仕組みはいまのところブラックボックスでわかりません。また、人間のドライバーは赤信号で無意識にブレーキペダルを操作して、ゆっくり減速することで安全に車を停止させることができますが、この動きを自動運転でコンピュータが制御するために関数が使えると便利です。さらに、プロの陶芸家やダンサーの動きなどを数式化してシミュレーションできれば、人間の持つ技術の継承にも役立ちます。
数学的現象を記述する関数
関数で表される現象は自然現象に限りません。「数学の現象」を表す関数についての研究も行われています。例えば「ある点で曲線のグラフがx軸と交わる」といったグラフや曲面の形やふるまいも数学的現象です。欲しい性質を持つグラフを実現しつつ、対称性などいろいろな制約をつけたきれいな関数を新しく作り出す問題に取り組まれています。関数を作るには、微分方程式や数列といった「関数を作るツール」を使います。
難しい問題はわかりやすいものに置き換える
関数の研究では、知りたい関数だけを対象にするのではなく、ほかにもいくつか関数を集めて関係性などを調べます。例えば高校数学で習う三角関数「sin、cos」の加法定理は関係性の好例です。また、抽象度の高い問題にそのまま取り組むのは難しいため、本質を損なわないように、よりわかりやすい概念に置き換えて考えます。図形の対称性を使えば方程式が簡単に解けるように、複雑な関数を図形的に考えて対称性を利用するのは有効な方法の一つです。ガロアを創始者とする優れたアイディアです。
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先生情報 / 大学情報
九州大学 理学部 数学科 教授 落合 啓之 先生
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