教育哲学の力を借りて、自分の進むべき道を見つける
将来進むべき道を決めるための方法
進学する際、自分の進む道はどのように決めますか? 興味・関心がある分野を選ぶという人、競争社会だから高い地位や収入が得られる分野で自分を高めたいという人、あるいは、現在のトレンドから成長しそうな分野に進みたい人などさまざまでしょう。しかし、1つの基準だけで決めるのは、よいやり方とは言えません。複数の基準をバランスよく考えるのが、自分らしく生きる最善の方法です。また、それぞれの問題を深く掘り下げることで、よりよい結論にたどり着くことができます。
「資格化」「社会化」「主体化」という枠組み
そのためには、自分自身を自分で教育することが重要です。教育は教師だけの特権ではありません。自らが成長して適切な判断を行うには、自分とは何か、社会とは何かを明らかにして、何に価値があるかを見極めなければなりません。そこで役立つのが教育哲学の知識です。
教育哲学者ビースタは、教育の基準を考える枠組みを「資格化」「社会化」「主体化」の3つに分類しています。資格化とは、将来一人前になるためのスキルや知識を指します。社会化とは、社会が要求する秩序や習慣などです。ステイタスを得るための振る舞いや一般的な社会的マナーもここに入ります。主体化は自分らしさにつながるものです。個人の興味・関心はこの項目に該当します。
価値判断、規範意識に必要な哲学的思考
趣味であれば、「主体化」、つまり自分らしさが発揮されれば十分です。しかし、仕事となるとそうはいかず、何かの役に立たなければ意味がありません。そうは言っても、「資格化」や「社会化」ばかりを重視すると自分らしさを失ってしまいます。そこで、3つのバランスをどう取るのか、どこに自分の価値を求めるかが重要になってきます。
実証的な学問は、自分や社会についてさまざまな知見を提供してくれます。しかし、何に価値があるのか、何が規範なのかは教えてくれません。そこで重要になるのが哲学的な思考なのです。
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九州大学 共創学部 共創学科 准教授 セビリア アントン 先生
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