21世紀=データの時代に求められるデータサイエンスの力
現実と仮想世界をつなぐシステム
ネットショッピングでは、倉庫に保管されている商品がバーチャル店舗の中で魅力的に表現されて売り買いされます。SNSでは、ユーザーがアバターやアイコンを通して仮想空間の中でさまざまなコミュニケーションを行います。このように現実の世界に存在する人や物が仮想(サイバー)世界の中で動いたり、逆に仮想世界でシミュレーションされた結果が現実世界に反映されたりといったことは、もはや珍しくありません。そして、現実と仮想の世界を結ぶためにはさまざまなシステムが用いられており、こうしたシステムを「サイバーフィジカルシステム」といいます。
AIやデータサイエンスの力
近年では、サイバーフィジカルシステムを構築するためにAIやデータサイエンスが役立てられる場面が増えています。例えば、ある共同研究では化学プラントの制御を効率化するためにAIが使われました。化学プラントで効率的な生産を行うためには試運転が必要ですが、試運転には膨大なコストがかかります。プラントに設置したセンサからデータを取り込み、それらをAIに計算させれば、試運転にかかるコストを抑えられます。また、ナノレベルのセンサによって分子を見分ける技術にもAIが使われています。この技術を応用すると「鏡像異性体」というアミノ酸の形状を識別できるようになり、地球外における生命活動の実態が明らかになることも期待されています。
データの時代を迎えて
20世紀は「石油の時代」であったのに対して21世紀は「データの時代」といわれ、データの重要性が高まり続けています。実際に、より多くのデータを集める企業ほど問題を解決できて、世界経済全体への影響力を高め続けています。データサイエンスでは、新たなアルゴリズムや深層学習・機械学習の開発といった基礎研究が行われています。この研究成果を、産業や科学研究だけでなく、データを用いるあらゆる分野の課題解決に役立てることに、これまでにない期待が集まっています。
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