「もしこうなったら?」を人工世界を創ってシミュレート

「もしこうなったら?」を人工世界を創ってシミュレート

現実を予測し理解する

シミュレーションとは、実際に何かを行う前に「もしこうなったらどうなる?」ということをコンピュータ上で模擬的に実験することです。例えば、首都圏での大地震を想定したシミュレーションが行われています。これは従来の地震の被害データや人的な流れのデータなどを全体的に統計・分析して導き出していますが、「マルチエージェントシミュレーション」という方法では、さらに一歩進んだシミュレーションを行うことが可能です。

複雑化する個々の動きも

マルチエージェントシミュレーションでは、人や生き物など個々の要素を「エージェント」と定義づけて、それぞれの動きを個別にプログラミングします。エージェントが一定条件のもとでどのような動きをするのか、さらに複数のエージェントが同時に動いた場合に集団としてどんな結果があらわれるのかをシミュレートしていく手法です。
通信販売の配送を例にとると、従来のシミュレートでは、1台の配送車がいくつかの配送先にどういうルートで走れば効率的に荷物を届けることができるのかを想定していました。マルチエージェントシミュレーションでは、複数の配送車がそれぞれの配送先に荷物を届けるのに効率的な各ルートを同時に導き出せるのです。複数のエージェントの複雑な行動パターンや起こりうる状況を組み込めるのが、このシミュレーションの最大の特徴です。

多様な情報化社会へのアプローチ

シミュレーションで得た結果を、いかに社会に生かすかが今後の課題のひとつです。近年は情報化が進み、膨大なデータが蓄積されています。そうなると「大量にあるデータの中から」抽出する、従来のトップダウン型の統計学的な分析手法だけでは、複雑に相互作用する情報を分析して全体像を理解するのは難しくなってきています。「末端にある個々のエージェント」をプログラムして、社会全体の動きをシミュレートし理解するという、マルチエージェントシミュレーションのボトムアップ型のアプローチがますます重要となるでしょう。

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先生情報 / 大学情報

関西大学 ビジネスデータサイエンス学部 ※2025年4月開設  助教(着任予定) 須賀 聖 先生

関西大学 ビジネスデータサイエンス学部 ※2025年4月開設 助教(着任予定) 須賀 聖 先生

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データサイエンス学

メッセージ

いろいろなことに興味を持って挑めるのが学生時代の強みです。今後の人生を豊かにするのはさまざまな経験です。行動を起こすのは難しいですが、まず0から1にすることが大切です。最初の1から2に、10にと増やしていけば、より多くの知識やデータが得られる道が作られます。データサインスの世界は今、膨大なデータであふれる世の中を多角的に見る視点が必要になっています。何ごとも経験しておくことが、広く社会を理解することにつながるのです。

関西大学に関心を持ったあなたは

1886年、「関西法律学校」として開学した関西大学。商都・大阪に立地する大学らしく、学理と実際との調和を意味する「学の実化」を教育理念に掲げています。2010年4月には、JR高槻駅前の高槻ミューズキャンパスと、大阪第2の政令指定都市である堺市の堺キャンパスと、2つの都市型キャンパスを開設。安全・安心をデザインできる社会貢献型の人材を育成する「社会安全学部<高槻ミューズキャンパス>」、スポーツと健康、福祉と健康を総合的に学ぶ「人間健康学部<堺キャンパス>」を開設しました。