究極の3D映像で未来のテレビを変える!
錯覚を利用する従来の3D
映画館などで3D映像を楽しむことが日常的になりましたが、今の3D映像の多くは、目の錯覚を利用したものです。人間は左右の目でものを見ますが、脳はその映像のわずかなズレを理解して距離や奥行きを認識します。3D映像の多くはこれを利用し、わざとズレのある映像を見せて脳をだましているのです。しかしこの方法では、特殊なメガネをかける必要があったり、見続けると目が疲れたりする難点があります。
発想の転換で高速計算を実現
そこで、もっと自然で美しい3D映像を実現しようと、「コンピュータ合成ホログラム」の開発が進んでいます。
ホログラムとは、物体から反射された光の情報を記録し、まるで実物がそこにあるかのような画像を再生するものです。自然に見ている時と同じ光の情報を使うので、どこから眺めても違和感のない3D画像になります。
ホログラムは、写真の技術を使ったアナログから、CGのようにコンピュータ・シミュレーションで映像を作るデジタルに移行しようと世界中で研究されました。しかし、物体を「点」の集まりと考えて、一つずつ反射光を計算していたので、膨大な時間がかかってしまい、うまく進みませんでした。そこで発想を転換し、物体を「面」の集まりで考える世界初の計算方法(アルゴリズム)が考案されました。これにより、短時間での計算処理が可能になり、世界最高品質のコンピュータ合成ホログラムを作ることに成功したのです。
東京五輪を究極の3Dテレビで!
このコンピュータ合成ホログラムは、ガラス板の表面を覆うクロム膜に微細な加工技術でパターンを刻み、そこを光が透過することで画像となります。この画像を動かせるようになれば、テレビに応用できます。コンピュータ合成ホログラムでは数100億画素が必要ですが、現在の地デジ放送は、約156万画素にとどまります。実用化に向けては、当然それに対応するディスプレイや記憶装置、情報通信システムの整備が必要ですが、東京五輪を究極の3Dテレビで観戦することも夢ではありません。
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