スマホに蓄えられるエネルギーは何カロリー? 電気製品の心臓を作る
スマホは省エネ?
iPhoneの電池に蓄えられるエネルギーをカロリーに換算すると、ノンシュガーあめと同じくらいの約10kcalしかありません。あめ1粒のエネルギーで人間が1日中動くのは難しいでしょう。しかしスマートフォンは写真を撮ったり動画を見たりと、さまざまな機能を長時間使用できます。小さな電池に大量の電気を蓄えることは難しいため、電気製品を開発するときは少ないエネルギーを効率よく供給する仕組みが必要です。
電気製品の心臓を作る
電気製品は、いわば心臓にあたる電源回路から電気をもらって、電気を音や光などに変換しています。さまざまな機器にエネルギーを効率よく供給する仕組みを作る分野が、エネルギーエレクトロニクスです。心臓が鼓動を打つように、電源回路は1秒間に約10万回などの高速で振動しており、さらに振動数を上げると供給できるエネルギー量を増やすことができます。しかしそのままでは人間が激しい運動をしたあとのように発熱し、動きが悪くなってしまうため、回路や電圧などに工夫を加え、振動数を上げつつ熱を抑える研究が行われています。
ドローンのワイヤレス充電器
エネルギーエレクトロニクスで注目されているテーマのひとつが、ドローンや電気自動車などに使えるワイヤレス充電器の開発です。例えば一般的なドローンは、一度の充電で20分ほどしか飛行できず、こまめに充電しなければなりません。バッテリーが切れる前に、ワイヤレス充電器のある場所に自動で飛んでいけるようになれば、ドローン操作の完全な無人化が実現できるでしょう。これを実現するために、ドローン用のドーム型ワイヤレス充電器が開発されています。ドーム型にすることで充電位置がずれにくくなり、ごみもたまりにくく、安全性が確保できます。充電器には太陽電池を搭載しているので、山の中など発電設備がない場所でも簡単にドローンを充電できます。こうしたワイヤレス充電器が普及すれば、宅配、設備の検査、災害救助、3Dイルミネーションなど、ドローンの活躍の幅が広がることでしょう。
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先生情報 / 大学情報
崇城大学 情報学部 情報学科 教授 西嶋 仁浩 先生
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