惑星上を飛行機で飛び回るのも夢じゃない!?
第3の惑星探査手法
宇宙を舞台にしたSF映画やアニメーションなどの世界では、飛行機を飛ばして月や火星を探査するのがおなじみの光景です。しかし現在の惑星探査は主に探査車や人工衛星で行われています。
航空機探査は、探査車より広範囲を調査でき、地形の影響も受けにくく、人工衛星よりも地表に近いので詳細なデータを取ることができます。ではなぜ惑星における航空機探査が行われないかというと、理由の一つは地球とほかの惑星との環境の差です。例えば、火星は大気密度が地球の約100分の1です。大気密度が低いと得られる揚力も小さくなり、航空機を飛ばすには過酷な環境なのです。
どんな航空機が必要かシミュレーション
惑星探査航空機開発の第一歩として、研究では惑星探査航空機の概念設計を行います。概念設計とは、惑星探査でどんなミッションを行うかを想定し、そのために必要な航空機の能力や機体設計を割り出すことです。例えば、火星の斜面で水が流れたあとを探査するための飛行機なら、カメラが搭載でき、安全な着陸地を見つけられるレーダーを持ち、垂直での離着陸が可能、などの条件が必要です。そこに火星の地形や気象情報も加えてシミュレーションし、機体を大まかに設計していきます。
また航空機の機体そのものの研究では、翼の模型を作り、人工的に作った疑似火星環境下で翼の性能を検証します。火星における航空機の重量や揚力、推進力を計算し、仮定したミッションに必要な機能を導き出します。
JAXAとの共同プロジェクト
現在、JAXAや国内の大学との共同研究で、航空機を用いた火星探査のプロジェクトが進んでおり、そこにも火星探査航空機の概念設計や展開翼システムなどの研究が取り入れられています。ここでは、開発してきた火星探査航空機の性能評価のため、火星環境に近い高度約30kmでの飛行実験が計画されています。惑星で飛行機を飛ばすという人類の夢の実現は、そう遠い未来ではありません。
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