機械も悲鳴をあげる! 適切な健康管理で寿命を延ばす。
機械の健康診断
機械は頑丈でいつまでも動いていると思われがちですが、人間と同じく寿命があります。人間が健康に長生きするには健康診断を受けるように、機械も壊れる前に異常を示す悲鳴を検知する「健康診断」が欠かせません。機械の診断は、機械の振動や音などの波形を分析して行います。人間は必ず死を迎えることから、病状の進行の度合いなどから余命を判断することが可能ですが、機械は異常を検知して、どのくらいで壊れるのかを判断するデータが収集されていません。今はどこまで使うか、扱う人間の経験則に頼っている状態です。壊れるタイミングが数値としてわかれば生産管理上の損失を最小化できるため、異常診断の分析結果をデータベース化して寿命診断の技術を確立する研究が進められています。
機械の寿命を左右する潤滑油
異常が検知された場合には、そこからできるだけ寿命を延ばすことかできるかが大切です。機械の部品の中でもっとも寿命が短いのは、部品同士が接続されて擦れて動く「摺動(しゅうどう)部分」で、ここには潤滑油が使われています。この潤滑油に添加することで油膜を厚くして性能を上げる、カンフル剤として添加剤が開発されています。一方、生活習慣病の予防には普段からの心がけが重要です。機械も長く使うためには異常が出る前から無理がかからないようにしなければなりません。そのため摺動部分の摩耗を抑える添加剤や潤滑油の研究も行われています。
異なる原料や粘度の潤滑油にも対応
潤滑油は一般的に石油から作られます。しかし、石油は海外からの輸入に依存度が高く国際情勢などから不安定になる可能性が否定できません。そこで、過去から検討されている石炭から作る潤滑油の性能評価が見直されてきました。また、近年は省エネの観点から粘度の低い潤滑油を用いる傾向にあります。潤滑油の粘度が低いと油膜が薄く、摩耗が早くなり、機械の寿命は短くなる傾向になります。そのため、低い潤滑油粘度での評価を確立して、寿命を延ばせるような添加剤の開発も進められています。
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先生情報 / 大学情報
崇城大学 工学部 機械工学科 教授 里永 憲昭 先生
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