社会を守る科学の目! 簡易DNA検査システムの開発

社会を守る科学の目! 簡易DNA検査システムの開発

科捜研におけるDNA検査

犯罪捜査には科学的手法が欠かせません。科捜研は犯罪捜査に関する科学的な鑑定や研究を行う警察機関であり、DNA鑑定や危険ドラッグの鑑定、銃器や偽札の鑑定など、その業務は多岐に渡ります。科捜研は5つの部門(生物、化学、物理、心理、文書)に分かれていて、それぞれ専門分野があります。DNA型鑑定は犯罪捜査の客観的な証拠としてだけでなく、大規模災害時の身元確認(親子鑑定)などでも重要な役割を果たしています。近年では、大麻草のDNA検査法が導入されるなど、DNA検査は科学的な犯罪捜査技術の向上に寄与しています。

よりDNA検査を簡便に

DNAの検査ではPCRという方法でDNAを増幅させることが一般的です。しかしながら、厳密な温度制御が必要なために専用の装置が必要で、操作が煩雑のため、専用の設備と技術者が必要になります。LAMP法というDNA増幅技術は60℃の一定温度でDNAを効率よく増幅させられるため、水浴やポットなどで容易で迅速にDNAの増幅ができます。さらにマイクロ流体チップ(小さい容器)の上でLAMP反応を行うことで、色による判定や複数の項目を一度に検査することが可能です。LAMPとマイクロ流体チップを組み合わせることで実験室ではなくオンサイト(現場)による大麻草のDNA検査が可能になりました。

食品加工や救急医療にも応用可能に

このDNA検査技術は違法植物について税関での水際対策にも利用できるでしょう。さらに、アレルギー項目の検査のための一斉検査システムに応用可能です。給食や小さな食品加工会社などでアレルギー項目の意図しない混入を防ぐために活用できます。また、食中毒菌などの迅速検査にも応用できるので、救急医療に応用が期待できます。DNAを簡単に検査できる技術が、社会と健康を守る科学の目となることが期待できるでしょう。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

城西大学 薬学部 薬学科 准教授 北村 雅史 先生

城西大学 薬学部 薬学科 准教授 北村 雅史 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

分子生物学、薬用植物学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私は科捜研の研究員としてDNA型鑑定や骨の鑑定などをしていました。植物の検査や研究をする中で、薬用植物に引きつけられ、現在の研究につながっています。実は、科捜研の化学・法医関連部門のメンバーの3割ほどが薬学部出身でした。その理由は、これらの部門の仕事で必要とされる、生物学、生化学、解剖学、有機化学分析などを統合的に学ぶのが薬学部だからです。薬学部出身者の活躍の場は、薬剤師や創薬以外にも広がっています。ぜひ夢を抱いて進んできてください。

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城西大学は、文系・理系・医歯薬系の5学部8学科で構成された「国際性」・「専門性」を学べる総合大学です。
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