講義No.14380 観光学

大きく変わる日本の旅行業界の未来を考える

大きく変わる日本の旅行業界の未来を考える

日本の旅行会社

日本の近代的な旅行業は、1905年に日本旅行会(現日本旅行)が、高野山や伊勢神宮への参詣団向けに「団体旅行」というスタイルを初めて作ったことが原点です。高度経済成長期を迎えると、人々の余暇時間が増加し、また交通網が発達したことで国内旅行が盛り上がりました。その後は海外旅行の自由化や格安航空券の登場を受けて海外旅行も身近になるなど、旅行市場は拡大を続けます。こうした旅行を企画・運営する国内の旅行会社は、旅行や観光に関する「情報提供」と道中の「安全安心」、また企画や添乗といった「人的サービス」、さらに企業努力によって安価な旅行を提供する「経済性」という価値を提供することで成長してきました。

大きな変化の波

近年の旅行業界は大きな変化の波にさらされています。新型コロナウイルスまん延の打撃を受けただけでなく、「オンライン・トラベル・エージェント(OTA)」の台頭によって、新たな旅行サービスが多数生まれたのです。インターネットを窓口とする旅行販売が一般化して、例えば空き部屋や空き家を活用するマッチング型サービス「Airbnb」のほか、海外の大手OTAが続々と日本市場に参画しています。また、コロナ禍の収束後はインバウンドも回復し、2023年は2,507万人の外国人観光客が日本各地を訪れています。

業界の今後

環境が大きく変わり、日本の旅行会社は従来のビジネスモデルだけでは生き残れなくなっています。しかし、顧客との信頼関係や、宿泊施設・運輸機関との連携、地域との協力関係といった、これまで築いてきた強みがなくなるわけではありません。また会議や展示会といったビジネスと旅行が融合した「MICE」というイベント市場や、富士山をはじめとする観光資源の価値を最大化すべく、地域の交通会社間の連携を促進するなど、さらなる成長の芽はまだまだ残されています。高い企画力やホスピタリティを発揮して地域と観光客をつないできた日本の旅行業界は、まさに新しい局面を迎えているのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

日本大学 国際関係学部 国際総合政策学科 准教授 矢嶋 敏朗 先生

日本大学 国際関係学部 国際総合政策学科 准教授 矢嶋 敏朗 先生

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メッセージ

世の中には多くの仕事がありますが、同じ仕事でも人によって苦痛に感じることもあれば、天職であると感じることもあります。好きな仕事であれば毎日が楽しく、また能力もどんどん伸びていきますから、ぜひ自分がやりたいことを仕事にしてほしいです。そして、大学も偏差値や入試日で選ぶ人が少なくありませんが、そうではなく、自分が将来何をしたいのかを考えて、その目標に近づきやすい大学・学部を選んでもらいたいです。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

日本大学に関心を持ったあなたは

―日本大学はあらゆる学問領域を網羅した総合大学―
日本大学が持つ幅広い学びのフィールドは、皆さんの興味・関心のある学問分野にきっとあてはまるはずです。ぜひ、この機会に日本大学の学びに触れてみてください。