地域の魅力を発掘して、人・モノの出会いを生み出す観光へ!
「観光まちづくり」とは?
近年、日本は観光を成長分野のひとつと定め、温泉地などの観光地だけでなく、さまざまな地域が観光に取り組んでいます。その担い手は、観光事業者や行政だけでなく、地域に住む人、農業や工業などで働く人まで広がっています。自分たちの地域の魅力や資源を広く地域内外の人に伝えることで地域に訪れてもらい、観光客との交流や継続的な関わりを生み出して、地域の産業やコミュニティの活性化をめざしています。これを「観光まちづくり」と呼んでいます。
地域資源を観光対象にする仕掛けは無限大!
観光に取り組むとは、有名な観光スポットをめぐるツアーをつくったり、ゆるキャラでPRしたりするだけではありません。例えば、美しい滝があってもそこに行けなければ観光ができません。ウェブページで見られること以上の特別の体験や感動がなければ、わざわざ訪れたいと思いません。観光の取り組みは、地域の魅力資源を観光対象にするためのハード面の環境整備から、魅力の伝え方や誘客というソフト面の仕掛けまで幅広いのです。都市計画・地域づくりのさまざまな分野の方法が必要ですし、学生のアイデアが新しい観光を切り開くこともできます。
産業観光:町工場も魅力的な観光対象になる
東京都大田区には、住宅と一緒に中小工場がたくさんあります。この地域のほとんどの工場は、最終製品の一部になる金属やプラスチック製の部品を製造しており、一般消費者は取引相手ではありません。ですから、観光客を受け入れるメリットはなく、仕事の障害であると考えられていました。しかし、大学と観光協会が企画して、一定地域内の工場を一日だけ一度に公開し、観光客が複数の工場を自由に見学や加工体験をして回れるオープンファクトリーというイベントを開催したところ、多くの人が訪れました。数年継続した結果、工場は地域の人にとって迷惑施設から誇るべき存在になり、消費者向け製品をつくる企画も進んでいます。観光は、観光客を集めるだけでなく、地域の産業を活性化する可能性も持っているのです。
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先生情報 / 大学情報
東京都立大学 都市環境学部 観光科学科 准教授 川原 晋 先生
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