「お仕着せの旅」から「こだわりの旅」へ変化する観光産業
観光産業は政府の成長戦略の柱
元気のない日本の経済を元気にさせる成長戦略の柱が観光による経済の活性化です。今までのように日本人だけを視野に入れた観光開発から、全世界の人々を日本にお招きし、素晴らしい日本の文化や歴史および食の魅力などを思い切り味わっていただくこと。これが政府がかかげるJapan.Endless.Discoveryです。2010年にはアイドルグループ「嵐」が観光立国ナビゲータに任命され、海外で日本の観光PRを実施しています。
これからの観光に求められるものは……
旅行文化が成熟した現在では従来の団体旅行に見られるような「お仕着せ型の旅」から個人の興味や好奇心を満足させる「こだわりの旅」へと旅行需要は変化してきました。例えば、よく見かける「グルメツアー」も美味しいものをレストランでいただくのではなく、まるでテレビの旅番組のシーンのように漁船の帰港を待ち、水揚げされたばかりの魚を浜にある番屋で漁師の母ちゃんの味付けでいただく「新しいグルメツアー」が誕生するなど、消費者の欲求はますます本物志向の旅を追求しています。
「お客様を集める」から「お客様を創出する」へ
こうした、わがままな「旅行者に満足していただける仕掛け」を創出すること、これこそが政府が掲げる「観光立国」を推進する原動力になります。21世紀に求める観光産業で活躍できる人材は、①「人の何倍も好奇心が旺盛であること」、②「自分自身が新しい発想の面白い旅を創造し楽しめること」です。しかし、最も大切なのは「ホスピタリティー(おもてなしの精神)の深い人材」で、「お客様の喜びを自分の喜びに感じられる人材」であることです。
21世紀型の観光産業は、今までのようにツアーを企画しお客様を集める観光から、ますます深度化するお客様の趣味や好奇心を満足させるエンターテイメント的な企画力が求められることでしょう。
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先生情報 / 大学情報
跡見学園女子大学 観光コミュニティ学部 観光デザイン学科 准教授 篠原 靖 先生
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観光学、余暇学先生への質問
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