建築空間をもっと面白く! 光の演出でオフィスを楽しく変える

建築空間をもっと面白く! 光の演出でオフィスを楽しく変える

心地よい建築空間とは

建築環境工学とは、建築空間の心地よさを実現するために、温度や音、光といった環境を考える学問です。たとえば「光」ひとつをとっても、若い人と高齢者では視覚的な快適性の感じ方が違うため、その空間を使う全員が満足できる環境を考えなければなりません。
建築空間の快適性は「Comfort」と「Pleasantness」で表されます。Comfort(以下C)は「不満のない状態」を表し、そこに楽しさや嬉しさをプラスした状態がPleasantness(以下P)です。従来、建築環境工学ではCの実現を目標として、Pは個々の現場の設計に任せるという考え方が主流でした。しかし今はCをさらに進めてPについても研究していくことが求められており、一例として、視覚的な観点でオフィス空間にPを取り入れる取り組みが行われています。

オフィスをもっと楽しい場所に

「ライトシェルフ」は採光量を増やすために窓の外に取り付ける反射板です。このライトシェルフを使って、オフィスの天井に光の演出を作り出した事例があります。事前の調査で評価の高かったボロノイ(トンボの羽など自然界に表れる模様)の型にライトシェルフの表面を分割し、角度をつけて反射光を天井に散らばせるのです。反射光が手元に当たって仕事の邪魔にならないことなどを条件に、分割したピースの適切な配置をシミュレーションし、3Dプリンタなどのデジタルファブリケーションを使った模型が制作されました。実際にこの模型で天井に光の演出をして20人の男女に心理評価実験を行ったところ、「アイデアが浮かぶ」「気分転換になる」「安らぐ」といった評価が得られました。

視覚的な面白さで省エネも

さらに、季節を感じさせるような模様を映し出すことや、室内の照明についても光の演出で面白さを出すことが検討されています。
これまでのデータから、視覚的な面白みがあると少ない光量でも満足が得られる傾向がみられます。快適性の高いデザインは省エネにもつながると期待されます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

日本大学 生産工学部 創生デザイン学科 教授 加藤 未佳 先生

日本大学 生産工学部 創生デザイン学科 教授 加藤 未佳 先生

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建築環境工学(光・視環境、色彩環境)

先生が目指すSDGs

メッセージ

私は明確な目標もなく大学生活を送っていました。それが変わったのは、たまたま参加した中国での住宅調査。現地の女の子が、家の中は暗いからと外で勉強していました。当時の中国は電力事情が悪く照明に頼ることは出来ません。日が沈めば強制終了。「もっと勉強したいのに」との言葉は、私が建築を学ぶ意味を考えさせ、使命感を抱かせました。
きっかけは人それぞれ。今はやりたいことが明確でなくても、その時々の心の繊細な動きを大切に、自分はやれるという勘違いや図太さを味方に挑戦しつづけてください。必ず未来が拓くはずです。

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

日本大学に関心を持ったあなたは

―日本大学はあらゆる学問領域を網羅した総合大学―
日本大学が持つ幅広い学びのフィールドは、皆さんの興味・関心のある学問分野にきっとあてはまるはずです。ぜひ、この機会に日本大学の学びに触れてみてください。