発展途上だからこそ、伸びしろのあるパラスポーツ環境の現状
期待される環境の改善
これまでに、健常者のスポーツは普及、育成環境の整備が進んできており、各年代における大会の開催も拡充されています。しかしその一方で、障害のある人を取り巻くスポーツ環境は十分に整備されているとは言えません。多様な人がスポーツの恩恵を享受できるようにするためには、どのようなことが必要になるのでしょうか。
学校教育、スポーツ指導者、行政の連携
鍵となるのが「社会全体の理解と関心」です。そしてそれを実現するためには「学校教育」「スポーツ指導者」「行政」という三本柱がより連携することが必要です。
「学校教育」においては生徒がより「自分事」としてとらえるようなアプローチが重要ですが、そのためにはまず教員がパラスポーツへの理解を深めることが欠かせません。ある地域では教員研修の一環として、視覚障害者のランナーと併走する伴走者に挑戦したという事例があります。この研修会では、必然的に「具体的なコミュニケーション」や「相手への思いやり」などの気持ちをもつことが大切であることが認識されました。そして、例えば、クラス替えを行った直後などの「コミュニケーションが必要なタイミング」で、伴走を取り入れるとお互いの理解が進むのではないかといった、伴走を通したチームビルディングの可能性についても話題が及びました。
「スポーツ指導者」の養成や「行政」についても、現状にどのような問題を抱えているかという課題の洗い出しが進められています。
スポーツを通した社会課題の解決にもつながる研究
障害のある人でもスポーツと関わりたい人は非常に多く存在します。その環境を整えて実際にスポーツを生きがいの一つとすることは、メンタルヘルスや身体機能の回復を促すなど、社会課題の解決にもつながる可能性が考えられます。また、パラスポーツを障害のない人が行うことによって、自身の身体に新たな気づきが芽生えることもあるでしょう。パラスポーツの環境はまだまだ発展途上だからこそ、大きな伸びしろがあるとも言えるのです。
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先生情報 / 大学情報
日本大学 スポーツ科学部 准教授 近藤 克之 先生
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教育学、スポーツウエルネス学先生が目指すSDGs
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