ゲストハウスが生み出す、地域との新しいつながり

気軽な宿泊施設「ゲストハウス」
近年、日本各地でゲストハウスと呼ばれる小規模な宿泊施設が増えています。ゲストハウスの特徴の一つは、ドミトリーと呼ばれる相部屋や共同のキッチン・シャワーを設けることで、宿泊費を安く抑えている点です。また、ラウンジなどの共有スペースは、ほかの旅行者と自然に交流が生まれる場になっており、それを楽しみに訪れる人も少なくありません。ゲストハウス増加の背景には、外国人個人観光客の増加や日本人による一人旅の増加などが、その広がりの背景にあります。
交流の場としての役割
ゲストハウスは単なる宿泊施設を超えて、地域の交流拠点としての役割も果たすようになっています。地域の人にとって、従来の宿泊施設は、結婚式や特別な日の食事会など限られた機会にしか訪れない場所でした。しかし、一部のゲストハウスではラウンジをカフェとして開放したり、地域の人向けにワークショップを開催したりしています。これにより、地域の人々が日常的に立ち寄れる場所として機能し、宿泊者と地域の人との間にも自然な交流が生まれています。また、ゲストハウスは基本的に「素泊まり」が多く、食事の提供は行われないため、宿泊者は地域の飲食店を訪れたり、商店街で総菜や弁当を購入したりして食事を楽しみます。このような日常的な接点が、地域との新しいつながりを育むきっかけにもなっているのです。
地域活性化のきっかけに
さらに、ゲストハウスは新たな移住者を呼び込むきっかけにもなっています。滞在中にその土地の魅力に引かれ、移住を決意する人も少なくありません。こうした動きにあわせて、地域おこしの一環としてゲストハウスを開業するケースも増えています。また、ゲストハウスを中心に周囲に新たな店がオープンするなど、街全体が活気づく例も各地で見られます。人と人とがつながる場所としてのゲストハウスは、これからの観光や地域づくりにおいて、大きな可能性を秘めた存在だといえるでしょう。
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先生情報 / 大学情報

金沢星稜大学経済学部 地域システム学科 教授石川 美澄 先生
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