地方に人を呼ぶ、地域活性化のための体験+ツーリズム

地方に人を呼ぶ、地域活性化のための体験+ツーリズム

旅に体験をプラスする「〇〇+ツーリズム」

日本は、国として訪日外国人旅行者による「インバウンド」需要の喚起に力を入れています。しかし、観光客が好む場所は東京・大阪・京都などの大都市に偏っています。さまざまな地域の活性化のためにも、地方の魅力を発信し、いろいろな場所に足を運んでもらう必要があります。「観光空間」づくりの一環としては、例えば「〇〇+ツーリズム」という提案方法があります。この〇〇には「エコ」や「フード」などが入り、現地でしか得られない体験を足したツアーとなります。

地域活性化のための交流人口

地域の活性化において、交流人口の増加は重要です。その土地の人口が増えるには、観光などで町を知る「交流人口」から始まり、定期的に町を訪れる「関係人口」から「定住人口」へという段階を踏みます。そのため、交流人口の増加は定住人口につながる地域活性化の第一歩です。
和歌山県古座川町という、かつて林業で栄えた人口2500人ほどの町で、フィールドワークという形で町の魅力調査が行われました。古座川町は信号機やコンビニといった現代的なものは少なく、太古の地殻変動で隆起した岩などの自然環境が特徴です。また、人と人の距離が近いため、旅行者にもにこやかに接してくれる人の温かさも街の大きな魅力となっています。こうした点は都会で働く人にとっては「エコ+ツーリズム」として、大きな魅力です。

成功例から交流人口の増加方法を学ぶ

また、地域活性化の取り組み事例もあり、その調査も行われています。例えば長野県の軽井沢はもともと宿場町で、江戸時代は参勤交代の際に碓氷峠を越える人々でにぎわい、明治には外国人向けの別荘地として開拓されました。その後は日本人も別荘を建て始め、現在は多拠点居住の人々が増えるなど、時代によってかかわり方を変化させながら進化し続けています。こうした事例から、ほかの地域の交流人口増加のためのヒントを調査して、各地域の活性化に生かしていきます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

玉川大学 観光学部 観光学科 教授 三木 日出男 先生

玉川大学 観光学部 観光学科 教授 三木 日出男 先生

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観光学

メッセージ

観光学はまだ新しい学問で、時流や場所に合わせた観光需要をいかに作り上げるかのアイデア勝負なところがあります。製造業のように決まった形もなく、できることの幅が広いため、自分の考えたアイデアが観光客の満足度という結果としてみえてくるのも大きな醍醐味(だいごみ)です。本学では探究学習の一環として、「高校生まちづくりコンテスト」も開催し、2022年は177作品の応募がありました。あなたの住んでいる地域の魅力を発見して、活性化につながるアイデアとして応募してみてください。

玉川大学に関心を持ったあなたは

―8学部17学科がワンキャンパスに集まる総合大学!―「全人教育」の理念のもと“「人」を育てる”ことをめざす玉川大学は、8学部17学科の学生がワンキャンパスで学んでいます。61万㎡の広大な敷地には、各学科での深い学びに加え、学部学科の垣根を越えた学びの環境を用意。学外での体験型学修や、「使える英語力」を身につける「ELFプログラム」などの独自プログラムも実施しています。また、2020年4月に利用開始した「STREAM Hall 2019」では、農・工・芸術学部が学部の枠を越えた学びを展開します。