人々のつながりをデザインする「協働型まちづくり」とは
知恵を集めて未来を創る「協働型まちづくり」
かつて瀬戸内のある自治体で、地域の観光名所や、施設などを案内する看板を作るサイン計画が持ち上がりました。従来なら行政や一部の専門家に任せるのが一般的ですが、この自治体では住民やさまざまな分野の専門家が計画に参加しました。そして、皆が参加するワークショップを計画し、住民の意見から課題を吸い上げ、知恵を出し合い、互いの得意分野を生かしながらサインづくりを進めたのです。こうした地域づくりのあり方を、「協働型まちづくり」といい、行政など限られたセクターが主導するよりも、住民目線や専門家のスキルを生かした魅力的な地域づくりが可能になります。
人々のつながりをつくる「ワークショップ」
協働型まちづくりは、ハード面の整備だけでなく、ワークショップを通して多様な人々が出会い、互いに学び合い、成長します。そして、人々のつながりが生まれ、新たなコミュニティが形成されます。この人々の成長やつながりが、より良い地域社会をつくり続ける原動力となります。このようなまちづくりを支える人々のつながりを「ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)」と言います。このソーシャル・キャピタルを生み出すことが、協働型まちづくりの重要な役割なのです。さらに、住民自ら地域について考えることで、地域の魅力や価値を再発見し、地域に対する愛着や誇りを持てるようになります。
「大学生=ヨソモン」が地域資源を発見する
地域には埋もれし資源がたくさんあります。しかし、住民はその魅力に気づけないことがあります。大学生が協働型まちづくりのプロセスに関わると、住民が気づけなかった地域資源を発見することがよくあります。大学生に限らずですが、ヨソモンの視点は重要です。このように、協働型まちづくりでは、多様な視点や価値観を持った人々が関わることが大切です。
こうした地域資源を活かす協働型まちづくりは、高齢化と人口減少の危機にある地方の活性化に期待される「観光まちづくり」を推進する上でも重要な手法となっています。
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福知山公立大学 地域経営学部 地域経営学科 教授 谷口 知弘 先生
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