これからの農業に大切なのは、技術と知識+豊かな経営力

これからの農業に大切なのは、技術と知識+豊かな経営力

農業は就業したら即「経営者」

最近、若い人たちの間で農業に興味を持つ人が増えてきています。しかし、ほかの仕事とは違って農業は就業したらすぐに経営者であることから、農業を仕事にするには技術や知識だけではなく経営力も必要です。企業の場合は人材育成のカリキュラムで管理能力や経営能力を養うことができますが、農業従事者は企業に属さないため、これらの力を養う場が少ないのが現状です。こうしたことから、どのようなサポートをすれば農業に携わる若い人たちの成長を促すことができるか、調査研究が行われています。

世代のギャップによって孤独感を抱くことも

調査では、最近農業に就いた人を対象に、どういう動機で農業をやり始めて、どのように成長していくかについてデータ収集します。そのデータを基に、若い農業就業者のサポートに何が必要かを研究します。結果として、農業には経営が必要ですが、若い農業従事者や就農希望者にはその「経営者意識」が低いことがわかりました。
現在、農業に従事する人の多くは年配者で、若い世代と考え方を共有できる人が少なくなってきています。また、年配者との考え方の違いから、若い農業従事者は孤独感を抱くことも多々あります。年配者が農業を始めた頃とは経済環境が変わってきている中で、時代の流れに合わせた農業経営の力を養い、孤独感を拭い去る新たなサポートが必要です。そのため、行政と大学が連携して、4年間で農業の技術や知識、実践に加えて経営の力を養い、農業に対するモチベーションを保ちつつ孤独にならないための育成を行う教育機関が誕生しています。

経営力や心理面のサポートも必要

若い就農者の中には、経営者意識を身につけてゲストハウスの運営や仲間が作った米を販売する会社を立ち上げるなど、多角化経営に乗り出す人もいます。そうすることで仲間ができて、視野も広がり、新たなチャレンジも可能です。就農をめざす若い世代への経営力の養成や心理面でのサポートは、今後ますます重要視されていきます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

東北農林専門職大学 農林業経営学部 農業経営学科 教授 小沢 亙 先生

東北農林専門職大学 農林業経営学部 農業経営学科 教授 小沢 亙 先生

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農業経済学

メッセージ

あなたにとって、とりあえず大学へ進むというよりも、「どういう大人になりたいのか」と目標を具体的に持つことと、そのために大学で何を獲得するのかが大切です。大学生活で、何か自分から獲得しようと思えば多くのものを得ることができますが、ただ単位を取るだけであれば何も獲得できません。農業経営学で言えば、生産と消費の両面を常に考えることで多くの知識を獲得することができて、将来農業に就くときにも役立ちます。ぜひ自ら積極的に、多くのものを獲得することを心がけてください。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?

東北農林専門職大学に関心を持ったあなたは

2024年4月、東北初の公立農林業系専門職大学として開学しました。農業・森林業の生産や経営・管理に必要な知識と、理論に裏付けられた技術、地域活性化に向けた課題抽出と解決の実践的手法、関連分野に関する応用的な知識(加工・販売、発酵・醸造、森林生態系サービス、観光等)、SDGsなどの幅広い教養を学びます。講義での最先端の理論に加え、先進農林業経営体での3年間計90日にわたる実習をはじめ、充実したフィールドワークや卒業単位数の1/3以上の学内外での豊富な実習で、理論と実践をバランスよく学べます。