市場は世界! 農業ビジネスの未来は明るい

市場は世界! 農業ビジネスの未来は明るい

「芸術的」な農産物

1房10万円以上するブドウ「シャインマスカット」を中国人が購入して感激し、再び買い物をしに日本にやって来たというニュースに触れたことはありませんか? 皮ごと食べられて甘く、房が美しい逆三角形をしたシャインマスカットは、日本に品種改良技術と、栽培技術があるからこそ生まれました。「芸術的」だと海外から評価が高い日本の農産物ですが、輸出総額は2021年にようやく1兆円の大台を突破したところで、チャンスを逃しているのが実情です。政府は2030年に5兆円という目標を掲げていますが、輸出体制の整備など課題は多くあります。

進む「働き方改革」

そんな課題を解決していくためにも、まずは農業に関わる人材の育成が重要になっています。調査によると、週休2日制や資格取得支援制度、子育て中の世代が働きやすい勤務体系を導入した農業法人では、短期間で離職する人の比率が減る傾向がみられました。人が定着すると技術力が高まるので、生産性が上がるという効果もあります。調査が進むにつれ、農業における働き方改革は、家族経営で肉体労働、長時間勤務という農業のイメージを変えるだけでなく、農業経営にメリットがあるということを導き出しています。人を雇う経験をしている農家はまだ少ないですが、だからこそ必要な調査だと言えます。

ビジネスとしての農業

農業は生産現場だけではありません。ビジネスとしてとらえると、加工や流通、パッケージデザイン、販売戦略まで、領域は大きく広がります。さらに、従来からの農業を続けることに加え、例えば植物性タンパク質から肉を生成するといった「フードテック」などの新しい技術も登場しています。農産物の輸出もまさにこれからです。市場は大きく、未来は明るい産業だと言えます。こうした農業ビジネスの面白さや可能性を示し、農家に生まれた人でなくても参入しやすく、働きやすい環境を整えるための調査・研究は、ゴールがなく常に進行形なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

新潟食料農業大学 食料産業学部 食料産業学科 ビジネスコース 教授 青山 浩子 先生

新潟食料農業大学 食料産業学部 食料産業学科 ビジネスコース 教授 青山 浩子 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

農業経営学、農学

先生が目指すSDGs

メッセージ

地域を元気にしたいと考えているなら、農業や食産業に関わるのがおすすめです。今のうちに地元の食材や農産物に関心を持ちましょう。大学では、どうすればそれらが世に出る商品になるのか、経営として成り立つのかということが学べます。
農業はSDGsにもマッチする産業です。例えば近年、ブドウの紫色が薄くなるなど地球温暖化の影響が広がってきています。品種改良や栽培技術の工夫にはゴールがありません。SDGsとは何かが実感できます。今まさに動いている分野ですので面白いと思います。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

新潟食料農業大学に関心を持ったあなたは

“Farm to Table to Farm”は「農場から食卓へ、そして農場へ」という意味です。食物は、農場で生産されてから多くの人の手を経て食卓に届けられ、この流れを「フードチェーン」とよび、農場から人々の食卓まで、フードチェーン全体をつかさどる産業を食料産業とよんでいます。本学では、新しい食料産業を作り出すために不可欠な科学(サイエンス)、技術(テクノロジー)、経済活動(ビジネス)を一体的に身につけます。日本の農業を変え、さらに世界をリードする新しい食料産業をともに生み出していきましょう。