竹林を管理して収入アップ! カギは「ウラ止め」にあり
特用林産物とは
森林から生まれる産物のうち、木材以外のキノコや竹(タケノコ)、炭、山菜、漆などを「特用林産物」といいます。苗を植えてから伐採して現金化するまでに数十年かかる木材に対して、特用林産物は毎年収穫ができるため、生産者の収入の安定に貢献しています。なかでもタケノコは、収益性が高い産物の一つです。
竹の雪害を防ぐ「ウラ止め」
竹は繁殖力が強くて成長も早く、温暖な地域でよく育ちます。そのため高齢化や人口減少などで山林を管理できなくなったことによる「放置竹林」が社会問題化した地域があります。
一方、東北などの寒冷地域は、温暖な地域と比べて竹の繁殖スピードが速くないものの、伸びた竹の葉の部分に積もった雪が原因で竹が折れる「雪害」の問題を抱えています。雪害が発生すると、竹の光合成に必要な光量の不足や転流阻害により、タケノコの生育に影響が及びます。そこで、従来はタケノコの早期発生等を目的として実施されてきた「ウラ止め」という、「稈(かん)」の先端を折り取って枝葉の成長を止める作業に着目し、ウラ止めをした竹林としていない竹林で約660本の竹の調査が行われました。この調査で、ウラ止めによる雪害の防止効果が有意に確認されました。
未利用資源のポテンシャルも
さらに、孟宗竹(もうそうちく)のウラ止めで折り取った穂先と、タケノコの成分の比較調査では、ウラ止め穂先はタケノコよりもえぐみが少なく、うまみが強く、コクが持続して、タケノコにないアミノ酸も含まれるという結果が得られました。雪害防止効果だけでなく、これまで廃棄されていたウラ止め穂先の食用可能性が示されたのです。
ウラ止めの作業は、タケノコから竹に成長して間もない短期間に、竹を1本1本ゆすって先端を折り取るもので、生産者にとっては大きな負担です。しかし、タケノコに続く収入源の創出が期待されることで、商品化に向けた取り組みも進められています。
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