ロボット&AIが、人の心理と社会に与える影響

ロボット&AIが、人の心理と社会に与える影響

対ロボット不安症がある?

今、ロボットやAI(人工知能)は私たちに身近な存在となっています。近年は、ロボットやAIが、外国語習得をサポートする、独居高齢者の認知症予防を目的におしゃべりする、カウンセリングをするなど、教育やコミュニケーション、精神医療の領域にまで活用が広がっています。
ただし、対人不安症という人がいるように、人によっては「対ロボット不安」という状態になるケースもあります。「性能は大丈夫か」「うまく話せるか」といった不安や恐怖を感じてしまうのです。

メリット・デメリットを知る

ロボットに対して違和感が生じる例はいくつかあります。例えば、姿勢の正しいロボットがなれなれしい口調で話す、寝そべったロボットが堅い口調で話すといった、印象と現象にズレがあると、人は混乱して受け入れにくくなります。一方で、配膳する猫型ロボットのように、広く受け入れられるケースもあります。今ある機能で、どんな場面でどう使うか、見た目やサイズ感といった、使用シーンや目的をデザインすることで成功した一例です。
心理学や統計学の手法を使って、ロボットやAIが人に与える影響を把握すると、適切なデザインが見えてきます。もしかしたら将来は、「AI依存」という現象が起きるかもしれません。AIは人を傷つけることがないため、人間よりAIと話す方が楽な人もいるからです。

広い分野での検証が不可欠

ロボットやAIは、機械・電子工学や情報学などを活用した学際的な集合体です。その対人間という面は、心理学や哲学、認知科学などの領域であり、国や地域別に異なる考えについては社会学や地政学、経済学などに関係します。ロボットに男女の性を搭載させるかといったジェンダーや文化の問題もあり、人とロボットの関わりは広い領域にわたるテーマです。
次々と新しいロボットやAIが登場して、人や社会に影響を与えます。だからこそ、人がロボットやAIを受け入れたり拒否したりする要因を明らかにすることが重要となっています。

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龍谷大学 先端理工学部 知能情報メディア課程 教授 野村 竜也 先生

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メッセージ

タイパ、コスパの時代だからこそ、一つのことをじっくり見る時間をつくってください。本や映画、アニメなどなんでもいいので、好きなものを何度も繰り返し見ると、1回目、2回目、3回目で気づくことがあり、見る視点が異なって、興味のあることが見えてくるものです。倍速にせず通常の速さで見ると、「間」やしぐさ、好きな表情などに気づけるでしょう。それは、何よりもぜいたくで貴重な時間です。また、悩んで立ち止まるより、面白そうなことをどんどん体験しましょう。前に進むと必ず得ることがあります。

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あらゆる「壁」や「違い」を乗り越えるために、「まごころ」を持ち、「人間・社会・自然」について深く考える人を育む。それが、龍谷大学の教育のあり方です。自分自身を省み、人の痛みに感応して、他者を受け容れ理解する力を持つ。人類が直面するリアルな課題と真摯に向き合う。そして様々な学びを通じて本質を見極める目を養い、自らの可能性を広げていきます。