樹木はどうして大きくなるのか? どうして葉が茂るのか?
太陽光をいかによく浴びられるかが生き残るカギ
樹木は、光を浴びて光合成をすることによってエネルギーを生み出し成長します。そのため、太陽の光をできるだけ有効に利用しようとしています。まず大切なのは、背が高いことです。例えば世界最大の樹木であるアメリカ西海岸のセコイアは高さ100メートル以上に成長します。木がそんなにも大きくなる理由は、じゅうぶんに太陽光を浴びるために周囲の木よりも大きくなくてはならないからです。また高さとともに重要なのは、できるだけたくさんの葉を持つことです。実際に光合成が行われるのは葉の中だからです。そのほかにも、太陽光をできるだけ効率よく利用するために、木はさまざまな工夫をしています。
葉は効率よく光合成をするために進化してきた
もし、森林の樹木の葉をすべて地面に敷き詰めたとすると、平均して、森林の地面全体の3~4倍の面積になります。この面積が大きいほど光をたくさん受けられることになり、木の種類によってはこれが13倍にもなります。しかしその一方、葉が多すぎると一枚一枚が受ける光の量が減ってしまうと考えられます。そのため、葉が多い木では葉自身がより効率よく光合成ができるような特性を持っています。また、1本の木の中でも、木の上の方の葉はじゅうぶんに太陽の光が当たるのに対して、下の方の葉にはあまり光が行き届きません。そのため同じ木の中でも下の方の葉は、弱い光でも無駄なく効率よく光合成ができるような性質を持っている傾向があります。
太陽光利用は樹木に学べ!
樹木は何千万年という時間の中で、より効率的に光を利用できる姿に進化してきました。つまりそこには太陽のエネルギーを無駄なく使うための、あらゆる知恵が詰まっています。こうした樹木に学ぶことで、私たちもまた、より効率的な太陽エネルギーの利用方法を見出すことができるはずです。もしかすると、いつか、樹木の形をした太陽電池が誕生するかもしれません。
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先生情報 / 大学情報
神戸大学 農学部 資源生命科学 応用植物学 准教授 石井 弘明 先生
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