人の言葉を自然に使いこなせる人工知能

人の言葉を自然に使いこなせる人工知能

人工知能が人間の言葉を扱う技術

人が普段使っている言葉(自然言語)をコンピュータに扱わせる技術を自然言語処理と呼びます。例えばドラえもんのような「人と友だちになれるロボット」には、動作を行う「体」の部分と、その動作を指示する「頭」の部分のほかに、人間に寄り添えるような感情をつかさどる「心」にあたる部分が求められます。ロボットの「頭」と「心」は言語と深い関係があり、自然言語処理が対応する分野の一例に挙げられます。

言語を構成する言葉に着目

言語を構成するひとつひとつの言葉には、それぞれが持つニュアンスや印象が異なるものが少なくありません。例えば「私」「僕」「俺」などはどれも「自分自身」を指す言葉ですが、伝える印象は違います。人工知能が自然に言語を扱うためには、こういった言葉の持つ情報を適切に認識することが求められます。
言葉は常に変化するものです。新しい言い回しや流行語、若者言葉などが次々と生まれますし、外国語も入ってきます。辞書に載っていないこれらの「未知語」を認識して使いこなすのは、人工知能にとって容易ではありません。
そこで、自然言語処理の精度向上をめざし、言葉それぞれの持つニュアンスや未知語を自動で推定、認識する技術の研究が進められています。

人間の感情に寄り添える人工知能

コンピュータの言葉の学習は人間の言葉の学習に似た側面があります。文章をたくさん読むだけで覚えられる言葉がある一方で、状況や視覚などの情報が理解に必要な言葉もあります。人間にとって言葉の修得は難しい場面があるのと同様に、コンピュータにとっても学習が難しい言葉があるのです。人とコンピュータではできることが違うので、コンピュータが学習しやすい方法が模索されています。
コンピュータが自然言語を使いこなすための研究は、かなり高度なところまで発展してきました。さらに人の感情に寄り添うことのできる人工知能の開発へ向けて、研究が続いています。

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東京都市大学 情報工学部 情報科学科 講師 延澤 志保 先生

東京都市大学情報工学部 情報科学科 講師延澤 志保 先生

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東京都市大学は2009年4月に武蔵工業大学からへ校名を変更。新たに文系2学部、理系2学部、文理複合系1学部を擁する総合大学として発足しました。前身の武蔵工業大学は80年の歴史を持ち多くの卒業生を輩出、日本の産業発展に貢献して来ました。97年には文系・理系複合の環境情報学部、09年には文系の都市生活学部と人間科学部を設立し、工学部から分かれた知識工学部を加えて学問の分野が大きく広がっています。80年の歴史を携え、キラリと光る特徴をもち存在感のある大学を目指す東京都市大学は、常に進化を続けています。