調査で明らかになった課題に、実践的に取り組む「地域計画学」

空間情報やAIを活用して地域課題に挑戦
地域計画学は、都市や地域が抱える課題を解決して持続可能な社会を実現するための学問です。建築や都市計画と深く関わりながら「空間」に注目して、住民のニーズを反映した政策や地域の潜在力を引き出す仕組みづくりが行われています。特に、都市生活の実態を踏まえて「どのような施設が必要で、どう機能させるのか」といった具体的な提案にまで踏みこんでいます。
EBPMを通じて変化を研究する
地域計画学では、政策評価を重視して、課題解決に向けて実践的なアプローチが行われています。主な研究テーマは「イノベーションを空間的にどのようにつくり出し、発展させるか」というものであり、その中で「EBPM(Evidence-based Policy Making:証拠に基づく政策立案)」を軸に、都市・地域計画、空間情報学を活用し、多文化共生に向けた「インクルーシブまちづくり」に取り組んでいます。例えば政策の効果を検証するために、データ分析やAIを活用して、空間情報や地図データを駆使した社会実験を実施します。このような試みは、地域の課題を可視化して効果的な解決策を見い出すことにつながります。特に、回覧板などのアナログな地域コミュニティに、デジタル技術を導入することでの「変化を研究するプロジェクト」などがユニークな事例です。
政策評価を行い、課題に即した政策立案に
「インクルーシブまちづくり」として、東京都豊島区で実施された外国人居住満足度調査では、短期滞在者と中長期滞在者それぞれの異なるニーズが明らかになりました。短期滞在者には文化的・言語的な支援が有効である一方、中長期滞在者には地域コミュニティへの参加に関する支援が求められることが判明しました。この調査結果を踏まえて「具体的な支援策を提案」し、それを「実施した上でその効果を評価する」という次のステップが計画されています。このような政策評価に基づく実践的な取り組みは、地域の課題に即したより実効性の高い政策立案につながっています。
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先生情報 / 大学情報

東京都市大学都市生活学部 都市生活学科 准教授林 和眞 先生
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土木計画学、地域計画学先生が目指すSDGs
先生への質問
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