企業も環境も元気に! これからの時代の生産管理システム

企業も環境も元気に! これからの時代の生産管理システム

製造業の経営に重要な「生産管理」とは

製造業の経営には「生産管理」が重要です。部品や製品の在庫を抱え過ぎず、短時間でよい製品を作り、品質、コスト、納期のバランスを見ながら最大の利益となるように生産プロセスを考えるのが、生産管理です。
自動車関連の製造業が多い日本では、「必要なものを、必要なだけ、必要な時に」生産する「ジャストインタイムシステム」など、優れた生産管理システムが開発されており、海外の手本にもなってきました。また最近では、情報技術を使ったシミュレーションで、よりよい生産工程を構築する研究も行われています。

環境も考慮した新しい生産管理システム

そして今は、品質、コスト、納期以外に、自社の製品が環境に与える影響も考えることが必要な時代になりました。そこで、環境も考慮に入れた生産管理システムの研究が進んでいます。大学と企業が連携し、その企業の実情を把握しながら、勉強会やワークショップで「グリーンな生産管理システムとは何か」を議論しています。
特に欧州では、「カーボンフットプリント(CFP)」の明示が必要になっていきます。CFPとは、ある製品の生産から廃棄・リサイクルまでに排出する温室効果ガスをCO₂換算した量のことです。CFPを明示する仕組みも、グリーンな生産管理システム研究の対象になっていきます。

サプライチェーン全体で協力するために

製造業では、A社は製品の部品をB社から仕入れて、B社は部品の原料をC社から仕入れるという具合に、たくさんの仕入れ先がつながった「サプライチェーン」で構成されています。よりよいビジネスをするためには、企業間が連携した「サプライチェーンマネジメント」が重要になります。
企業間で協力をするには、情報開示などが必要になりますが、企業同士が具体的に協力することが難しい場合があります。しかし、環境対応のためのCFP算定などは、すべての企業が共通して取り組まないといけない新しい課題であるため、今後、新しいサプライチェーンマネジメントの研究が進んでいきます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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東京都市大学 デザイン・データ科学部 デザイン・データ科学科 教授 大久保 寛基 先生

東京都市大学デザイン・データ科学部 デザイン・データ科学科 教授大久保 寛基 先生

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社会工学、経営工学、生産システ工学

先生が目指すSDGs

メッセージ

社会に出ると、論理的に考える力や、課題を把握する力、お客さんに丁寧に説明する力が重要になります。また、今の企業は情報システムを使って仕事をすることが多くなりましたが、仕事に必要な基本になる力は、国語と数学の力です。特に数学は、高度な数学は必要ありませんが、数学の文章問題を普通に解けるくらいの力は大切です。また、高校生のうちから、ある程度は「自分は社会でどういうふうに活躍したいのか」を考えて、そのためには何を学んだらいいかという視点で進路を選んでほしいです。

先生への質問

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東京都市大学に関心を持ったあなたは

東京都市大学は2009年4月に武蔵工業大学からへ校名を変更。新たに文系2学部、理系2学部、文理複合系1学部を擁する総合大学として発足しました。前身の武蔵工業大学は80年の歴史を持ち多くの卒業生を輩出、日本の産業発展に貢献して来ました。97年には文系・理系複合の環境情報学部、09年には文系の都市生活学部と人間科学部を設立し、工学部から分かれた知識工学部を加えて学問の分野が大きく広がっています。80年の歴史を携え、キラリと光る特徴をもち存在感のある大学を目指す東京都市大学は、常に進化を続けています。