高度情報化社会の原理を解き明かす現代社会学
社会の根幹をなす「高度情報化」とは
現代は、コンピュータと通信技術が融合した「高度情報化社会」であり、その傾向はますます強まっています。個人の好みに関係なく、コンピュータと通信技術が社会の根幹をなしているのです。
例えば、製造業の生産ラインでは、コンピュータ制御されたロボットが稼働し、人間は情報を管理するだけです。流通部門では、すべての品物がコンピュータ管理され、必要な場所と必要な時間、必要な量がネットワークを通じて瞬時に割り出されて、物品が的確に届くシステムが構築されています。住民票をはじめとした個人情報を管理する行政でも、通信販売の現場でも、コンピュータと通信技術が社会を支える基盤になっています。
メリットもデメリットもある
2000年代に急速に発達した「高度情報化社会」は、個々の人間の社会とのつきあい方を変えて、社会の枠組みや文化に影響を及ぼしています。それは、メリットばかりではありません。メリットがあれば、必ずデメリットがあるのです。
例えば、情報が瞬時に行き渡るということは、人々が短いスパンで物事を見る傾向を強め、長期的な視野に立つことを阻害する恐れがあります。あまりに効率のよいシステムは、効率偏重をもたらす可能性もあります。デジタル化によってテレビや新聞、出版などの既存のマスメディアには大きな変革の波が押し寄せています。
社会現象を解明する学問
コンピュータに限らず、技術革新によって社会が変容するのは避け難いことです。技術革新はいつの間にか人々の習慣を変え、価値観を変え、法律などによる規制を生み、さらにそれらが相互に関連してというように、社会は変容していきます。社会問題化することも出てきますが、それもすぐに現れるとは限りません。長い期間を経て表面化することが少なくないのです。
このような現代の複雑な社会現象の原理を解明することは、社会問題の根源をつかむだけでなく、新たな変革を察知するためにも、大変重要な課題になってきます。現代社会学とは、そのような学問領域の一つなのです。
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先生情報 / 大学情報
埼玉大学 教養学部 教養学科 現代社会専修課程 教授 内木 哲也 先生
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