日本経済が発展するためのヒントとは
日本の製造業は分業構造
身の回りの製品は「〇〇の自動車」や「〇〇の液晶テレビ」など、完成品メーカーの名前とともに親しまれています。ただし完成品メーカーは、それらの製品をすべて自社で作っているわけではありません。下請会社と呼ばれる中小企業で部品を作り、メーカーはそれらを組み立て、完成品を世の中に送り出します。日本の製造業は、分業制で成り立つ構造になっていて、特に中小企業の優れた技術が「ものづくり日本」の製造業を支えていると、高く評価されています。
経済と規制の関係とは
製造業をはじめとする産業が生み出す経済と、産業に対する規制とは、切り離せない関係にあります。規制をして、それに適合する製品が流通すれば経済の構造が変化し、規制の内容も変化します。規制と経済は相互に作用するものなのです。
現在では、自然環境保護の一環として規制を設けるケースが多く、それを戦略的に行っているのがEU(欧州連合)です。EU域内で商売を行う場合、EUに商品規格を合わせたり法人を設立したりと、定められた規制に沿う必要があります。それらはEU内の経済を豊かにする構造で、それに合わせないと商売ができない仕組みです。
中国の経済戦略
14億人の巨大マーケットを持つ中国で商売する場合も同様です。中国は今、高品質な製品をどんどん生産、輸出しています。日本人はコンパクトで効率の良いものを作ることに長けていますが、それは今の世界基準ではありません。例えば自動車の高性能トランスミッションやディファレンシャルギアの製造は、中国の得意分野ではありません。しかしこれらは中国が力を入れる次世代型電気自動車には使わない部品です。「作れないなら、それが不要な完成品を作る」という発想です。一方で、太陽光パネルは日本の製造技術を取り入れ、日本が海外から調達する材料を自国内で調達し、完成品を安価で販売しています。グローバル経済の中では、世界のニーズに応える力と発想の転換が不可欠で、それが日本にも求められているのです。
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先生情報 / 大学情報
桃山学院大学 経済学部 経済学科 准教授 澤田 鉄平 先生
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