視点を変えれば見えてくる! 戦国大名の「本当」の姿とは?

戦国大名の家臣の視点で歴史を見る
高校で学ぶ歴史の授業は、各時代の権力者の視点で書かれています。例えば、戦国時代でいえば、織田信長、豊臣秀吉などです。しかし、彼らのもとにはたくさんの家臣たちがいました。この家臣たちの視点で見ることで歴史の解像度はさらに上がります。
例えば、織田信長は、いかにも絶対的・専制的な権力者であるようなイメージがあります。重臣の柴田勝家に現在の福井県の支配を任せた時には、「何か新しい命令を出す時には、自分に相談せよ」と指示し、「自分のいる方角に足を向けて寝るな」とまで言っています。ところが柴田勝家は、信長に相談をするどころか、時には信長が出した命令書そのものを取り消し、現地の実情に適した手法で福井県統治を進めています。権力者だけでなく、その重臣の動きも考えないと、歴史は見えてこないのです。
重臣の信用に依存する外交
戦国時代から江戸時代の日本の大名は、1つの「国家」と認識されていました。大名という「国家」同士のやりとりは、「外交」と呼ぶことが相応しいでしょう。そして、外交の表舞台に出てくるのが戦国大名の重臣たちです。大名同士がやりとりをする時は必ず重臣が関与し、大名の発信内容を担保しました。歴史を知るために大名の重臣たちの視点に注目する理由はそこにあります。
歴史学における「証拠」とは?
歴史学は膨大な史料に基づいて、研究者が仮説を出し合いながら、お互いに問いかけ続ける学問です。また何か事件が起きた時、正確な情報を入手できたか、事件をどう理解したかは、当時の人だって、それぞれ異なります。そのため、1つの史料だけに基づいて、歴史を確定することはありません。
歴史学における証拠、「史料」を読み解くためには、訓練なだけでなく、史料が書かれた時代背景などの文脈を理解する必要があります。その意味で、歴史学は「メディアリテラシー」の学問と言えます。インターネットや生成AIで膨大な情報を入手できますが、その情報の可否を判断する上でも、歴史学の素養は、重要なのです。
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東京都市大学共通教育部 教授丸島 和洋 先生
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