金型産業は、極秘情報を得られる産業だった!?
どこにでも使われている「金型」
製品を大量生産する際には、金属で作った「金型」で素材をプレスしたり流し込んだりして、製品やその部品を成型します。金型によって成型される素材は、金属、プラスチック、ゴム、ガラスなどさまざまであり、ペットボトルの容器などのプラスチック製品、スマートフォンやパソコン、自動車などの機械部品の多くが、金型を使うことで、低価格かつ安定品質で作ることが可能です。金型を扱う企業の多くは、製品全体を作るメーカーでなく、サプライヤーと呼ばれる、部品を作る企業です。部品を作るサプライヤーの経営戦略は、製品を作るメーカーとの関係性も含め、独特のものがあります。
メーカーの開発情報が入手できる
メーカーは、製品の開発情報を他社に対して隠すことで、市場で有利な立場に立とうとします。しかし、自社内ですべての生産工程を完結させると、コストも時間もかかってしまうので、部品の生産は専門の企業に依頼したほうが効率的です。つまり、サプライヤーに対しては、最低限の開発情報を開示する必要があります。サプライヤー側から見れば、メーカーが発売しようとしている製品の情報を、いち早く知ることができるわけです。それは、単にその製品だけではなく、市場の動きや流行が今後どうなっていくかを知ることにもつながります。今後の業界の動向がわかれば、自社がどういう設備を導入し、どういう営業をすべきかなどのヒントが得られるのです。
企業にヒアリングして経営の秘訣を知る
ものづくり産業の経営を研究するためには、文献を調査するだけでなく、直接企業に出向き、現場のヒアリングを行うことが大切です。特に、経営者の思考や理念などを聞くことで、業界全体の経営改善に生かせることもあります。さらに、企業への取材は1回限りでなく定期的に行うことで、経営者の世代交代にともなう経営戦略の変化なども知ることができます。それが、金型産業全体の将来を見据える研究につながっています。
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玉川大学 経営学部 国際経営学科 准教授 田中 美和 先生
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