顧客も従業員も満足するホスピタリティビジネスのあり方

ホスピタリティビジネス
「ホスピタリティビジネス」といえば、ホテルやレストランのスタッフ、ブライダルプランナーやキャビンアテンダントといった仕事が思い浮かぶでしょう。相手をもてなすホスピタリティとすてきなサービスを通して顧客に喜んでもらい、「ありがとう」という感謝の声を直接もらえるやりがいにあふれた仕事です。一方で、業務や経営において高度に効率化された製造業などと比べると、非効率な面が残されています。給与水準も高いとはいえず、訪日外国人が急増している現在も、慢性的な人手不足にあえいでいます。
マーケティングの力を生かす
「人」が提供するサービスの質が成果に直結するホスピタリティビジネスをより活性化するためには、マーケティングの手法をうまく取り入れることが有効です。サービスや価格を見直して、顧客の満足度を高めるためのマーケティングを「エクスターナルマーケティング」といいます。
一方、そこで働く従業員を「内部の顧客」と位置づけて、その満足度を高めるためのマーケティングを「インターナルマーケティング」といいます。これまで、日本ではどちらかといえばエクスターナルマーケティングに重きが置かれてきました。それが過度な値下げや割引につながり、従業員の労働条件が改善されない要因になっていたことは否めません。
満足を両立する
近年では状況に改善の兆しが見えてきました。ある調査では、顧客人気ランキングの上位に位置する事業者ほど、就業時間や休日、給与規定の見直し、産前産後休暇制度の整備といった「働き方改革」を行っています。これによって従業員のモチベーションが高まり、顧客からの信頼・収益も向上しているのです。
このように顧客満足と従業員満足をうまく結びつけて、企業の収益につなげる考え方を「サービスプロフィットチェーン」といいます。マーケティングをはじめ、経営学が蓄積してきたさまざまな理論や手法を用いることで、ホスピタリティビジネスのより持続可能なあり方が見えてくるのです。
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桜美林大学ビジネスマネジメント学群 教授(学部長)五十嵐 元一 先生
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