企業の意思決定の裏に管理会計あり
企業の方向性を決める管理会計
企業の会計には、社会に情報を公開するための「財務会計」と、経営の方針を決めるために使われる「管理会計」があります。「いかに安く商品を作るか」というテーマは、管理会計を参考に対策していくことができます。メーカーの場合、商品の設計段階で部品の供給会社と「この強度で作ってほしい」などの意見をあらかじめすり合わせることで、部品自体の価格を下げることができ、全体として大幅なコストダウンを図ることができます。こういったコストダウンの方法はトヨタ自動車で開発され、「原価企画」とよばれる日本型経営モデルの代表的事例として、世界的に注目を集めました。
業績管理で人の行動を変える
人の行動は、どのような目標を設定されているかによって変わってきます。例えば、テストの点数によって子どもの小遣いの金額が変わるとした場合、「80点以上で3000円あげる」と言うのと、「あの子より良い点をとったら3000円あげる」と言うのとでは、子どもの頑張りや行動は変わってくるはずです。企業においても、「業績管理」という目標設定の考え方があり、管理会計の分析によって目標が設定されています。あるパン屋さんで、前年の業績に応じて目標を決める取り組みを行ったところ、次年度の売上目標が高くなることを嫌い、店員がわざと力を抜くということが起こりました。業績管理は、こうした心理的な側面をどうクリアしていくかが課題となっています。
数学を使って経営をシンプルに考える
先に挙げた事例のように、経営は物事が複雑に絡み合っており、分析するのは困難なものです。そこで役立つのが、数学的視点です。経営学では数理モデルを使い、状況の変化や業績の動きをシンプルに表すことで分析していく分野があります。経営者は、数理モデルで可視化した業績とそれにともなって揺れ動く人の心理や社会の動きを踏まえて、意思決定をしていくのです。
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桃山学院大学 経営学部 経営学科 講師 濵村 純平 先生
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