「ホスピタリティ」が、競争に勝ち残る鍵になる
お互いを思いやる心
現在、さまざまな業種において、「ホスピタリティ」の価値が注目されています。ホスピタリティを日本語に置き換えると「おもてなし」が最も適切ですが、それだけでは「心・マインド」まで表わせているとは言えない難しさがあります。ビジネスにおける「ホスピタリティ」はサービスの提供者が一方的に消費者に与えるものではなく、お互いに作り上げていくものです。「お客様に気持ちよく過ごしてもらいたい」という心で接することで、消費者である相手もサービスの提供者を気遣うようになります。そんな目に見えない思いやりの交換を生み出せるかどうかが、ホスピタリティの大きなポイントです。
観察し、気づき、実行することが大切
ホスピタリティには地域や文化による特徴があります。航空業界を例にとると、客室乗務員の対応の仕方について、日本を含むアジア圏では思いやりを持って乗客に接する一方、欧米では、頼まれたことに確実かつ楽しく応えることが特徴として見られます。
そうした違いに加えて、相手も常に変わります。そのため、最大のパフォーマンスを発揮するには、乗客の表情、動き、発する言葉を観察し、気づき、ベストのおもてなしを考え、実行することが大切です。例えば、マスクを付けている人がいたら、花粉症なのか風邪なのか、予防のためなのかを見極め、どのような対応が喜ばれるのかを考えます。正解が1つではないのがホスピタリティの難しいところですが、それが面白さややりがいにもつながります。
競合他社に差をつけるために
企業に共感、信頼、愛着を持ってもらうためには、付加価値をつけ、顧客満足度を高める必要があります。それを実現するのがホスピタリティです。特に航空業界は、機体や座席などのハード面で差別化を図るのが難しい業界です。そこで、人と人とが生み出すホスピタリティが、企業の付加価値を高める要になります。ただし、これは航空業界に限った話ではありません。ホスピタリティは今後、企業が競争に勝ち残る鍵になると言えるでしょう。
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京都産業大学 外国語学部 英語学科 教授 原田 由子 先生
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